教育はロボットが苦手とする分野に特化していく
将来生き残る仕事、生き残れない仕事というのが話題になったりします。
これから仕事を選ぶなら、ロボットやAIに取って代わられるような仕事をあえて選びたくないとも思います。そこで、改めて今後の職種の需給予測と、自動化の可能性について見てみたので備忘録的にメモっておきます。
The Jobs Rated Almanac: The Best Jobs and How to Get Them (Job Openings) (English Edition)
- 作者: Les Krantz,Tony Lee
- 出版社/メーカー: iFocus Books
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: Kindle版
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上記の本は、収入や将来性、就労環境、失業の可能性、ストレス、仕事の質などの指標にもとづいて、「最高の仕事」と「最低の仕事」を評価したもので、アメリカで30年近く継続的に行われてきた研究です。
最高の仕事ランキング(2015)
1.アクチュアリー
2.聴覚診断士
3.数学専門家
4.統計専門家
5.バイオメディカルエンジニア
6.データサイエンティスト
7.歯科衛生士
8.ソフトウェアエンジニア
9.職業セラピスト
10.システムアナリスト
ここでは、数値やデータを扱う仕事、IT関連、医療系専門職、という3つのカテゴリーが見えてきます。
最低の仕事ランキング(2015)
1.新聞記者
2.木こり
3.軍人
4.調理師
5.ニュースキャスター
6.フォトジャーナリスト
7.刑務官
8.タクシー運転手
9.消防士
10.配達人
自動化の可能性と照らし合わせると
これらの職業について、自動化の可能性(将来ロボットと代替する可能性)*1と照らし合わせてみると、最高の仕事はおおむね自動化の可能性が低く*2、最低の仕事は自動化の可能性が高い職業が多い*3ことがわかります。
自動化されない仕事について、谷本氏*4は次のように整理しています。
・企画や執筆など高度な創造性が必要な仕事
・複雑な判断が必要な仕事
・ルーティーン化できない仕事
・臨機応変な対応が必要な仕事
・高度なコミュニケーションが要求される仕事
教育はどこへ向かうべきか
このような現状を踏まえた上で思うことは2つ。私事として、①研究者・大学教員という仕事の将来性*5にももちろん関心はありますが、それ以上に②今後、大学教育が目指すべき方向性はどこか(何を教えるべきか)ということ。
(今すぐではないでしょうが、将来的に)教育は、ロボットが苦手とする分野に特化していくという方向性が考えられると思います。ロボットが苦手な能力をきちんと把握して、それを高めるような教育が求められるようになってくると思う。少し前に文系学部廃止の騒動がありましたが、文系学部の研究も「ロボットが苦手なこと」に結構近い。ロボットやAIを利用して、いろんなことが進化し我々の生活は便利になっていきます。進化していかないものへの需要も含めて、技術進歩はあらゆる選択肢を増やすものであると考えています。
*1:Will Your Job Be Done By A Machine? : Planet Money : NPR
*2:アクチュアリーや統計専門家で20%程度、数学専門家やバイオメディカルエンジニアで4%程度。例外として、歯科衛生士の自動化の可能性は68%とされている。
*3:木こりや調理師、タクシー運転手などは90%程度。例外として、消防士の自動化の可能性は17%とされている。
*4:Amazon.co.jp: 日本人の働き方の9割がヤバい件について eBook: 谷本 真由美: Kindleストア
*5:ちなみに大学教授の自動化可能性は3.2%