LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

ダウントン・アビーが描く英国貴族社会が奥深い。シーズン4放映開始!

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先日ロンドンに滞在して、イギリスの王室や階級社会に興味を持ったので、amazonプライムビデオで無料試聴してみました。見始めたら、シーズン1から3まで一気見してしまった。

特にシーズン3の最終話が衝撃的で、続きを楽しみにしていたところ、なんと2016/01/10(日)よりNHKでシーズン4の放送が始まりました。うれしい!

この作品では、1900年代初頭の英国貴族の大邸宅における、一見華やかな暮らしの背景にある、ドロドロとした人間関係が描かれています。そのため、全体的にどこか暗い、閉鎖的な雰囲気が漂っています。しかし、内容が進むにつれて、その奥深さの虜になっていきます。そんなダウントンアビーの魅力を、ほんの少しご紹介。

ノブレスオブリージによって成り立つ英国の階級社会

お屋敷での貴族と使用人の階級格差はもちろん、使用人間での格差も描かれているところが興味深いところ。執事、伯爵付き従者、伯爵夫人付き侍女、家政婦長らは「上級」使用人と呼ばれ、下僕やハウスメイド、台所手伝いの厨房メイドなどの「下級」使用人とは区別され、上下関係がはっきりしています。そのため、使用人間での足の引っ張り合いやイジメなど、ドロドロとした愛憎劇が繰り広げられます。

また貴族は、大邸宅に多くの使用人を住まわせ、雇用を確保したり、地域の貧しい人たちに食べ物を分け与えたりすることが、自分たちの果たすべき義務と考えている。まさにノブレス・オブリージによって、社会の歪みが補完されていたのだということがわかります。

時代の変化に合わせて揺らいでいく価値観

この時代、女性は財産を相続できない(長子相続である)ため、文字通り女性にとって結婚がすべてで、結婚相手によって自分自身や自分の家の価値が規定されてしまいます。ゆえに女性たちは婚活に必死。悲壮感すら漂ってくる様相です。

しかし、時代の変化とともに、そういう価値観も少しずつ変わってきます。工業化が進み、世界大戦に巻き込まれ、大きな変革を迎えます。ダウントンアビーの3姉妹は、いずれも高貴な家柄の男性との結婚を期待されますが、それぞれ時代の変化に導かれるように、新しい「女の幸せ」を選択していきます。シーズン1の初めのころは、家柄の良い男性しか相手にせず、庶民を鼻であしらうような冷ややかなプライドの塊だった長女も、シーズン3では心から愛する相手と結ばれます。次女は、職業婦人としてコラムニストになり、年齢が離れた既婚者と愛を育みます。三女は、運転手と身分違いの恋を貫き、駆け落ちして子供をもうけます。

「女として生きる」ことの苦悩に直面しながらも、知性と気品で新たな時代を生き抜いていく姿は本当にたくましい。現代を生きる私たちにも通じる教訓があるように思います。

どこか日本人的な空気感

この作品から、イギリス人と日本人に共通する気質が見て取れます。ストレートに自己主張したり、自分の内面をあけすけに表現することをを嫌がるかわりに、暗黙の了解というか、何も言われなくてもその振る舞いで真意を把握できるということが、英国人の知性であり誇りだと考えているっぽい。会話の随所に現れる本音と建て前の使い分けや、人と一定の距離をとりながら本音は明かさない様子、それでいてプライドだけは高い。まったくの異文化ドラマでありながら、日本人的な感覚で理解しやすい部分があるというのも、魅力の一つだと思います。