決められたレールから外れること。
堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』。
発売直後に読んだときはそれほどでもなかったんですが、少しあっためて今日取り出してみたら、じわじわきました。8人のイノベーターの言葉から、共通して見えてくるメソッドが次のようにまとめられています。
・目標からの逆算はせず、今だけに集中する
・常識にとらわれず、まっさらな目で見る
・遊びと仕事の境目をなくす
・皮膚感覚で違和感を感じる仕事は捨てる
・失敗を恐れず、一つの場所に固執しない
簡単な言葉ですが、核心をついていて、ひとつひとつかみしめるほどその難しさを感じます。
登場するイノベーターの中で、個人的に一番しっくりきたのが佐渡島康平氏でした。「会社から出て初めて見える世界がある」というタイトルにふさわしく、組織の中と外の視点で語られる言葉が、すんなりと受け入れられました。
・リスクを減らすより、取ってもいいリスクを探していった方がジャッジは早い。僕はシンプルに、自分が納得のできる失敗の方向を選んでいるだけです。
・人間は環境に負ける存在です。僕は講談社にいると講談社という環境に負けるという、悪い予感があった。(中略)挑戦的でも大胆でもなく、自分は才能がないから、環境をどうにかしないと自分がダメになるという気持ちで、試行錯誤しているだけなんです。
・時代の移り変わりを感じ、自分が何をすべきかを理解するには、既存の組織から出なくてはいけません。どこにも所属していない状態じゃないと、風の動きはわからないのではないか。そういう危機感を、僕は会社員時代に持ったんです。
この手のイノベーターの本は、素晴らしいことが書いてあって、そのとおりではあるんだけど、すぐに変わろうとすると、強靭なメンタルが必要だよな…と思うことがあります。
たとえば1つ目の言葉は、堀江貴文氏の言葉では「失敗の可能性について考えても意味がない」と言い換えられています。
でもきっと、多くの人は失敗の不安をまったく感じずに生きていくことは難しいと思う。急に変えようとすると、かえって精神を病んでしまう人もいるかもしれません。最終的に言いたいことは冒頭の5つのメソッドに共通しているとしても、そこに向かうプロセスにおいてどの方法論が受け入れやすいかは、人によって当然異なるわけです。
そんなさまざまなアプローチの方法が、この本では8人の例で示されています。自分に一番しっくりくる方法論を見つけることができたら、成功者である彼らが少し身近に感じられて、一歩を踏み出すきっかけになるかもしれませんね。