LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

公務員を退職したいといったら、猛烈に反対された。

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今回、退職にあたって周囲からさまざまな反応をいただきました。本当に近しい人は私の決断を尊重してくれましたが、親戚やかつての上司、同僚のなかには、続けてほしいとか、もう少し様子をみたらどうかと言ってくれる人もいました。なかでも驚いたのは、遠方に住む親戚のおじさんが、辞めるなと何度も電話をかけてきて、しまいには直接説得しにきたこと。

説得されても、私の決断が揺らぐことはありませんでした。でも、どこか心乱されるような感覚があった。決断は変わらないけれど、どうしてあなたに私の生き方を否定されなければいけないのか?という苛立ちがありました。

 

公務員を辞めるべきでないという説得の数々

その1「世の中の大変さがわかっていないんだ!」

安定した世界にいるから、世の中の仕事の大変さが全然わかっていないんだ、これまでと同じようにやすやすと給料がもらえると思っているなら、それは考えが甘すぎる、と言われました。女が仕事をしていく上で、公務員以上に恵まれた職業はない、とも言われました。

その2「将来何かあったときに、きっと後悔するぞ!」

これから病気になったり、親の介護が必要になったり、定年退職して年金もらうときに、ああ公務員でよかったと思う日がくる、と説得されました。他のどんな仕事を選んだって、これ以上の仕事はないということに後で気が付くぞ、とのこと。

その3「もう少し時間をかけて、よくよく考え直してみてほしい」

辞めるのはいつでもできる。でもいったん辞めたら、もう二度と戻れない。もう少し時間をかけて考え直すべきで、いま決断するのは早計だと言われました。時間が経てばまた状況が変わって、気持ちも変わるかもしれないと。

 

私の将来を心配してくださって、ありがとうございます。

熱烈な説得攻撃を受けて、まず私はこう言いました。

ここまで時間もお金もかけて、まるで自分のことのように必死になって、私の将来のことを心配してくださって、ありがとうございます、と。

そして、自分の気持ちを次のように伝えました。

・「世の中の大変さが分かっていない」というのは、まったくそのとおり。私は自分が経験した世界の事しか知らない。それはあなたにとっても同じこと。私に公務員以外の世界がわからないのと同様に、公務員ではないあなたには私の気持ちはわからない。

・「将来後悔するぞ」というのも、否定できない。将来のことが分からないのはみな同じ。そのリスクを、自分で引き受ける覚悟を持てるかどうか、というだけのこと。私は、自分の人生を、他人に決めてもらうような主体性のない人間に育ててもらった覚えはない。自分の人生は自分で決めていく。

・「考え直してほしい」というけれど、すでに私は、あなたより遥かに長い時間をかけて自問自答してきた。それを理解した上でなお考え直すべきというなら、それは 私に「考える力」がないと言っているのと同じだ。それは、すでに成人して社会人として生きてきた私に対する侮辱である。

 

無視するだけじゃおさまらなかった。それは、私の方の問題だった。

他人に自分の価値観を押し付け、自分の思うとおりに生きるのが正しいんだ、と疑いもなく主張する人はどこにでもいます。そんなのは無視すればいいだけ。

でも今回は、無視できなかった。真っ向から、1つ1つの言葉に反論して、叩き潰して、二の句が告げないようにしてやりたい、というぐらい強い憤りがあった。親兄弟ならいざ知らず、どういうつもりで私の人生の選択に口を出してくるんだ、という苦々しい気持ちすら抱いていた。

今になって、この感情は、私の方の問題だと気付きました。

「私とあなたは違うから、あなたの価値観を押し付けないでほしい」といいながら、私は共感を欲していたのです。私が思われたいように、私を思ってほしいと感じていたのです。なぜこれが私の幸せだとわかってくれないのか、なぜ尊重して応援してくれないのか、わかってほしい、温かく見守ってほしい。やめてほしくて仕方なかった「価値観の押しつけ」を、自分自身もまたしていたということです。

自分の意思を伝えることは必要だけれど、すべてを理解してもらうことはできない。話の通じない相手に、話が通じると信じて話し続けることは、本当につらいことです。わかってもらわなくていい。本心でそう思えたとき、苛立ちはなくなっていました。

※冒頭画像:https://unsplash.com/photos/2Ts5HnA67k8

 

 

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