LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

母と話したい。

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最近、亡くなった母のことをよく思い出す。

私の進路について、母はよく「chai-chanはXX大学に行けるといいね」とか「公務員になれたらいいね」とか「△△省に入省できたら最高だね」とか言って、決して教育ママではなかったけれど、私がみずからそれを目指すように繰り返し柔らかなプレッシャーをかけ、背中を押すのが上手な人だった。結果、私はそのとおりの進路を選んできた。

母は専業主婦だったから、例に漏れず娘には生涯仕事を持ってほしいと望んでいた。私は主婦として生きる母の悔しさや苦悩を見るにつけ、これも例に漏れず母のようにはならないという強い意思を持って生きてきた。

 

公務員を退職して、縁もゆかりもない土地に引っ越してきて1ケ月。

 

最近は毎日、手料理を作っている。凝ったものは作れないけど、栄養のバランスと素材の味を大切にしている。定番のレパートリーが一周してしまって、今日は何にしようかとスーパーで食材を選んでいると、おもむろに母が作っていた料理を思い出す。もう10年以上前の記憶だから、作り方も味もよく覚えていないけど、何となく作っても同じ味になる。

毎晩寝る前に床をモップがけする私を見て、夫は聞く。「十分きれいなのに、どうして毎日モップかけてるの。」むかし、毎日床掃除をする母に「なんで毎日床ばっかり磨いてるの」と文句を言っていた私が、知らず知らず同じことをしている。違う、きれいなのは、毎日きれいにしてるからなの。きれいだから汚れがわかりやすくて掃除しやすいし、まとめて大掃除する必要がなくなるんだよ。あの時は分からなかったことを、今は自分の言葉にして言える。 

母と同じようにはならない、と言った私が、自分の幸せのための選択をした結果、いま母と同じような暮らしをしている。何となく漠然と、今の私を母はどう思うだろうか、と考えることがある。私は母の「△△省に入省できたら最高だね」の、その先の夢を知らない。聞く暇もなかった。退職なんて言ったら、きっと大反対したんだろうな。でも母は私の予想を裏切ることも多かったから、何も言わず応援してくれたかもしれないな。

 

母と話したい。 聞いてほしいこと、聞きたいことがたくさんある。13回忌の今年は、できたら墓前で二人きり、近況報告でもしたい。

 

※冒頭画像:https://unsplash.com/photos/JZwb0Rc2vMA