LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

公務員退職を決断させてくれたもの

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iPhoneのメモ帳を整理していたら、退職前のメモが出てきた。

日付を見ると、退職の1年半ほど前のものだった。今は退職が最善の選択だったとしか思えないのだけれど、当時はそれを決意するまでに長い時間がかかった。そのころは毎日始発の電車で出勤して、終電で帰ってくる日々だった。土日も休むことができない状態で1ケ月2か月と経つうち、帰りの空いた車内で涙がぽろぽろ流れるようになった。疲れ切った頭で、ウダウダ悩み続ける自分の気持ちに決着をつけたくて、書き溜めたメモだった。

今読み返すと、感情的で稚拙で恥ずかしさもあるけれど、それ以上に、このままではいけないと必死だった当時の思いがよみがえってくる。本当に、忍耐の一言に尽きる日々だった。

そのころ、同僚や友人に言えない不満や不安は、phaさんちきりんさんのブログを読むことで落ち着かせていた。このブログがそれと同じような役割を果たすなんて夢にも思っていないけれど、一方で私には元・公務員として分かることがあって、同じような絶望感の中で何とか気持ちをつないで出勤してる人がいることを知っている。どこかで、わずかでも誰かの気休めになるなら、その一部を記録しておこうと思う。

つれづれなるメモ

  • 5年後も今と同じ悩みや不安を抱えて過ごしたくない。変わり映えしないまま、歳だけとって後悔したくない。辞めたらチャンスとリスクが両方あるけど、辞めなければ後悔しか残らない。
  • 辞めたら最後、もう、いま以上の仕事には一生つけないかもしれない
  • 大きな不満もないかわりに、大きなやり甲斐もない。自分を誇れない。せめて家族がそばにいたら、このまま目をつむって生きるのもアリかもしれないけど、1人で生きていくなら、ここに留まることは空しいだけ
  • 周りを納得させる生き方をして、自分が納得できない生き方をしてきたこの5年、果たして幸せだったか?周りが納得しなくても、自分が満足できればそれでいいのでは?自分の人生だ
  • とりあえず、仕事やめても生きていける
  • 辞めたい。希望を感じない。人生を捨てている感じ。でも、辞めたくない。自立していたい。
  • もう、こんなこと続けられない。死んだように生きる、とはこのこと。
  • 公務員として忙しく1日がおわることは、それなりの充実感を与えてくれる。でもそれが将来につながっていかなければ、積み重ねにならない。この5年間、毎日毎日忙しく働いて、ただ土日を心待ちにして働いて、その結果自分に残ったものは何か?
  • いくら努力しても、積み重ねのない努力は残らない。この仕事で、自分の資産となるものをどれくらい積み重ねてこれたのか?
  • どの道で、何をするにしても、勉強していくことが必要。どこにいても、自分で生計を立てていける力を身につけないと。
  • 公務員を辞めて、孤独に耐えられるか?
  • 雇われの身になりたくない。といって、自分が経営者の器だとも思えない。働き方を抜本的に変えるしかない。子供も持ちたいし、家庭以外にも大切なものを持ちたいし、自立できる資産を持ちたいし、将来的には仕事を通じて社会貢献もしたい。サラリーマンとして、人生の大半を不満と不安で過ごしたくないし、仕事で体や家庭を犠牲にしたくない。
  • 月曜日、また1週間をさっさとやり過ごして、週末を早く迎えたいと願う。そして土曜は、平日の疲れで体調がすぐれず、日曜は翌週のためにエネルギーを温存して思い切り遊ぶこともない。そうやって、毎日が過ぎて、あっという間に5年経った。
  • やる気もエネルギーも希望も、自分らしく生きる要素はどこかに無くしてしまった。このままぬるま湯に浸かったように生きて死んだら、絶対に後悔する。自分の人生を精いっぱい楽しんで生きられたら。
  • 通勤の定期を買うたびに、定期を買うのはこれで最後にしたいといつも思ってきた。定期の有効期限まで何とか頑張ったら、あとは退職するんだと思うことだけが、心の支えだった。入省時に感じた違和感、自分の居場所はここじゃないという直感を、5年経った今日まで、毎日感じてきた。ここが自分の生きる場所だとか、天職だと思えた日は一日もなかった。辞める決断は正しいかどうかわからないけど、少なくとも間違っていないことだけは確信できる。
  • 人生は短い。自分の人生なんだから、やりたいことをやらなきゃ後悔する。公務員として生きていく未来は容易に想像がつくけど、そういう人生を歩みたいか?こんな風になりたいと憧れる人はいたか?否、あんなふうになりたくないとか、なんであんなにすごい人がこの程度で収まって満足しているんだろうと思ってきた。ここにいたら、それは自分の未来の姿になる。
  • なんとかなる。そう思えたらきっと大丈夫。流れに身をまかせつつ、分岐点で命がけで曲がる。死ぬことはみな平等で、こんなに普通のことはない。
  • ラクをしたいとは思わない。確実な保証はどこにもないけれど、リスクを自分で負えるかどうか。
  • 結局、自分の人生の責任は自分でとるしかない。誰かに委ねたら、そのあと自分に起きることをすべて責任転嫁して生きていくしかない。自分以外のコントロールできないものに口を出して、不平不満を言う人生は嫌だ。
  • 毎日最低8時間、同じ席で同じ人に囲まれていることが苦痛。仕事は集中して何時間でも取り組めるし、興味のあることなら休日返上でも構わないが、同僚の雑談に時間を取られて上司のジョークに気を遣って、神経が擦り減る。雑談も仕事のうち、必要なコミュニケーションだという暗黙のプレッシャーがあり、それをしないと浮く職場。だから合わせているけれど、心底くだらないと思っている。これがあと何十年も続くかと思うと、目の前が真っ暗になる。でも、この場所から動くことが出来なくて辛い。
  • やりたいことは自分の中にある。

 

流れていく感情を記録することで、退職の覚悟ができた

こんな風に一進一退で悩んでいたけれど、最終的にこの翌年に退職した。

その決断には、このメモも役立った。日々流れていく感情を、きちんと記録・蓄積していくことは、のちの決断において有用な財産になる。時間が経つと薄れてしまいがちな日々の苦しみの深さや満足度の低さを、その時の感情のまま思い出させてくれる。少しは楽しいこともあるしとか、まだもう少し耐えられそうだしとか、不安で退職の決意が揺らぎそうになったときも、こもメモが背中を押してくれた。これから先の5年間も、同じ思いを繰り返して過ごしていくのか、と問いかけることができた。このメモを付け続けるうち、自分のなかに覚悟のようなものが固まっていくのを感じた。

いまはまだ理想にはほど遠いけれど、一つ言えることは、もう憂うつな気持ちで朝を迎える日はないということ。退職を後悔することはないし、もっと早く決断すればよかったと思うほど。何よりも、今は未来の可能性に向けて、わくわくすること、楽しいと思えることにエネルギーを費やすのに忙しい。希望がある今の暮らしが、公務員時代に望んでいた生き方だと自信をもって言える。

 

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