LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

英語で発信しなければ、存在しないも同然だ

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いよいよ本当に本気で本腰据えて、英語に向き合わなければならない。

学術研究においても先日の海外旅行においても、英語がうまく使えないことによる、これ以上ないほどのフラストレーションがたまっている。

すでに遅すぎるけれど、せめて今、このときから始めなくては。

そう思いながら何気なくあるサイトを見ていたら、各分野のトップ研究者への英語に関するインタビューがあって、心が奮い立った。一流の研究者でも、英語ネイティブでない限り、誰もが最初の留学、1本目の英語論文執筆で英語に泣かされ、今なお壁を感じているという事実。

たとえば社会学者・上野先生の「ネイティブの壁を越えられず英語圏で勝負するのを断念した」話とか、ノーベル賞をとった中村先生の「35歳で空港のアナウンスも聞き取れない状態で初めて留学してから、46歳でカリフォルニア大学の教壇にたつ」までのストーリーとか、元経産相の竹中先生の「今でも冠詞がわからないし、今でも毎日英語の壁を感じる」とか、中東学者の酒井先生の「国際学会で恥をかいたトラウマ体験から、今でも国際学会前は必ず悪夢を見るし、国際学会が憎い」とか。本当に、自分だけ安全圏でやり過ごそうなんて少しでも考えたことが恥ずかしい。以下、備忘録として引用。

どんな実績も、英語で発信しなければ「存在しない」も同然(上野千鶴子

私は、教壇で「バイリンガルになりなさい」と学生に教えています。私は英語圏で勝負することから撤退したけれど、それは、英語を放棄したということとは全く違います。バイリンガルになることは、これからの時代の研究者にとっては必須の生存戦略です。生き延びるためには、強いられた言語を使うほかない。そうでなければ世界の他の地域の人たちに理解されず、存在しないに等しいのですから。英語に屈したと見せかけて、その言語を逆手にとって、日本のオリジナルな経験に基づくオリジナルな研究を発表し、これまで誰も知らなかった現実や世界を構築していくことにこそ、私たちが恐ろしいほど膨大な時間と労力をかけて英語を学ぶ意義があるのではないでしょうか。そしてこれを行わない限り、今後、日本人研究者の存在意義は失われると思います。

社会学者・上野千鶴子https://www.enago.jp/drueno/

日本語を捨てるくらいの覚悟がなければ、国際レベルから立ち遅れる(中村修二

私も経験があるから引きこもりになる気持ちはわかるし、英語社会で生きる心のつらさは精神分裂になってもおかしくないと想像しますが、こんな貧困な英語力では、世界を舞台にしたサイエンスなんてできるわけがない。つくづく日本の理系学生は日本語を捨てるくらいの覚悟で英語をやらなければ、日本のサイエンスは今後どんどん国際レベルから立ち遅れていくでしょうね。

ノーベル物理学賞受賞、工学博士・中村修二https://www.enago.jp/drnakamura/

英語の壁があるのは仕方ない。向かっていく精神を持つしかない。(竹中平蔵

私は学生にもよく言うんです。学会や国際会議では「真っ先に質問しろ」と。つまり、議論の流れが他の人たちによって作られると、そこに割って入るのは難しい。だから、最初に自分の土俵で議論をするように持って行くのが一つの工夫だよと。英語のネイティブスピーカーどうしが議論しているときは、逃げたくなる気持ちを抑えて、「近くに行け」と。近くに行ったら「肌で聞け」。耳で聞くんじゃなくて、肌で聞け!

(経済学博士・竹中平蔵https://www.enago.jp/drtakenaka/

英語圏で「言葉にできない思い」はない。言わなければ、存在しないことになる。(養老孟司

留学時代の論文執筆は、共著が多かったです。自分の担当の章を書くときに、英語圏の共同著者に「こういうことがうまく英語で書けないんだけど」って相談したことがありました。その人、何て言ったと思う?「英語で書けないことはない」だって。つまり、「英語で表現できないことはない。言えないなら、最初から無いんだよ、それは」。日本人はそうは思わない。日本には「言うに言われぬ」とか「筆舌に尽くしがたい」とかさ、「言葉にならない感情」ってものがあるでしょ。一方、彼らは「言葉にしなければ通じないでしょ、通じないことは無視していいでしょ」という考え方。だから、国際会議に行くと、以心伝心の国の日本人は黙っているんだよ。欧米人にしてみれば、「言わなきゃわからないじゃない!」の一言で終わりですよ。

(解剖学者・養老孟司https://www.enago.jp/dryoro/

最後に…初心忘るべからず

 英語は僕にとって、あくまでも手段であって、目的ではない。行くべきすてきなパーティーがなければ、靴ばかり磨いたって仕方ない。僕の考えていることが人に伝わればいい。

(解剖学者・養老孟司https://www.enago.jp/dryoro/

 

 ※冒頭画像:https://unsplash.com/collections/391068/study-english?photo=tk7OAxsXNL0