LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

公務員を退職して2年、働き方はどう変わったか

公務員を退職して、2年が過ぎた。

その間、働き方はどう変わったか(変わりつつあるか)。

そのメリット・デメリットはどうか。

実際にやってみて、新たにどんな壁にぶつかっているのか。

ここでちょっと整理してみたくなった。

 

働き方はどう変わったか

非常勤だけど、好きな仕事(研究職)に就いた

個人的な理由で職場と住居が離れていて、常勤で働くならば単身赴任しかないという事情があって、非常勤に甘んじている。とはいえ、家族と一緒に暮らしながら、好きな仕事を好きな時間に進めることができる今の働き方は、それほど悪くないと思っている。

  • メリット:好きな仕事だから充実感がある。1つ1つの仕事が自分の実績として積み重ねられ、研究者としてスキルアップできているという実感がある。出勤日以外は、自分の裁量で好きな時間に作業を進めることができる。自由な時間が増え、ノンストレス。職場は、住んでいる場所からは飛行機に乗る距離なので、出勤が旅行感覚で気分転換になってとても良い。
  • デメリット:薄給。
  • 新たな課題:非常勤の立場に安穏とせず、そろそろ次のステップに進まなければ、このままの給料では暮らしていけない。家から通勤可能な場所に常勤の仕事を見つけたい。

研究活動で培ったスキルを利用して、個人事業主になった

研究活動で身に着けたデータ解析などのスキルを利用して、クラウドサイトから個人で仕事を受注するようになった。最初のうちは実績がないから、コストに見合わない仕事も安く請け負うしかなかったけれど、実績を重ねるにつれて常連で仕事を任せてくれる顧客も現れるようになってきた。3月には、個人事業主として初めての青色申告も経験。

  • メリット:どの仕事を、誰と、いつするかを自分で選べるようになった。組織に属さなくても、個人でお金を稼げるという自信がついた。大好きな旅行のスケジューリングがしやすくなり、家族との時間も十分に持てるなど、日々の生活を自分の満足度でアレンジすることができるようになった。
  • デメリット:(私が受注できる仕事に関して)そもそも発注が少なく、継続的かつ安定的に稼ぐことができない。月ごとに収入にムラがあり、お小遣い程度の小金を稼ぐことしかできないときも。現状、これだけで食べていくことは困難。
  • 今後の課題:少ない発注を待つことしかできず、まったくの受け身状態になっていることが悩み。受注するときは、どうしても他のフリーランサーとの競争になり、結果として買いたたかれる状況になったりもする。与えられた仕事を受けるという仕組みではなく、自ら仕事を創造する仕組みを構築しなければ、一生安く使われ続けるか、いつか仕事がゼロになってしまう。模索中。

大学で専門分野の非常勤講師をすることになった

大学教員になるためには、ある程度の教育歴が必要になる。これまではなかなか非常勤講師としての勤務先が見つからず焦りもあったが、いろいろアピールしてきた結果、運よく国立大と地方私立大で3科目の枠を得ることができた。

  • メリット:教員公募に必須の教歴を確保できる。これまでのインプット中心だった研究生活から脱して、アウトプットに重点を置けるようになる。新しい大学で新たなつながりを得ることができ、研究の幅を広げることができる。
  • デメリット:現状では特になし。
  • 今後の課題:自分が学部生の頃とは、大きく時代が変わっている。基礎理論は不変としても、講義の到達点や大学に通う意義、学ぶべき内容は変わってきている部分がある。公務員からフリーランスになり、紆余曲折を経て教員になった私だからこそ伝えられることは何なのか、日々考えている。

 

自分をどう運用していくか

そんなわけで、研究・教育・個人事業主という、3つの柱ができつつある。これは、兼業不可だった公務員時代には想像できなかったことだ。本来はこうあるべき、こうしたいと思っていた状態に近づいていることは確かである。

しかし、新たな悩みは尽きない。これら3つの柱を有機的に組合せながら、より個人の活動にシフトしていきたいと思っているものの、現状では3つがそれぞれ別個に存在している状態。

ただ研究をするだけでなく、自ら資金調達するなどしてそれを社会に還元し、学生や他の専門家などと協働して、社会実装するところまでやり切りたい。

そう思うけれど、どこに向かっていくべきかのビジョンが今はまだよく見えていない。インプットばかりで情報メタボになり、アウトプットをしてこなかった代償だと思っている。

堀江貴文・落合洋一「10年後の仕事図鑑」のなかで、ビジョンやモチベーションについてこんな言及がある。(一部要約)

 これからは経営者がトップダウン方式で労働力をあてはめる考え方ではなく、労働者=経営者として価値あるものを共に作ろうとする考え方になっていく。

 このとき経営者の仕事として、AIがとって代われない仕事は、組織にビジョンを語ることである。AIはある意味で指示待ちであり、何を実現したいかというモチベーションを持つことこそが人間の役割である。そのゴールが与えられれば、あとはAIが立ちどころに処理する。人間は仕事を創る側に立つんだというマインドセットが必要。

 モチベーションを価値に落とし込むには、①言語化する能力、②論理力、③思考体力、④世界70億人を相手にすること、⑤経済感覚、⑥世界は人間が回しているという意識、⑦専門性、が重要である。

研究・教育・個人事業の3つ(もしくはそれ以上)を掛け合わせて、それぞれの価値を循環させ、それをお金に換えていくような仕組みをどう作っていくか。自分の持ちうる価値をどう運用していくか。2年経って、それが目下の課題になっている。

10年後の仕事図鑑