LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

公務員退職して大学院に戻って結婚して出産した。残すは常勤ポストへの就職のみ?

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発言小町の、研究職を目指すポスドク33歳女性の悩みが切実すぎた。妊娠と就職のトレードオフ。気持ちが分かり過ぎる。

https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2013/0723/607061.htm

 

かく言う私も、新年度を間近に控えて、否応なくこれからの進路について思い悩む日々を送っている。

公務員を退職して3年がたつ。その間、大学院に戻って好きだった研究活動を再開し、大学院生兼研究員をしながら、個人事業主として調査研究の仕事も受けつつ、結婚し、出産もした。

4月からは、子どもを一時保育に預けながら、非常勤講師をしつつ、いよいよ博士号の学位取得に王手をかける。来年度は、博士論文の他にどれだけ業績を増やせるかが、就職活動に大きく影響してくる。

そろそろ学振の申請タイミングでもあるので、RPD(出産育児で研究中断した研究者への助成)の申請準備もしている。でも正直、研究業績が足りなすぎる。今回は自分の立ち位置を知るための申請と割り切って、来年以降に照準を合わせる方針。そのほか助成金の申請も手あたり次第にする予定。やることは山ほどある。

 

出産前も覚悟していたけれど、体力はもちろん、気力を奪われることが何より研究活動に支障をきたしている。自分でコントロールできることが、おそろしく減った。とにかく寝たい、休みたいという欲求にあらがって机に向かうことが、かつてないほど難しく感じる。将来のことを考えると、泣きたい気持ちになる。

それでも本音を言えば、できるなら子どもはもうひとり欲しい。夫にも誰にも言わないけれど、ひっそり思う。1人でもこれほど削られるのに、2人になったら、たぶん私はもう研究には戻れない。わかっている。30代半ばという年齢的に、妊娠も就職も、今を逃したらもう難しい。

 

私がいつか、常勤の研究職のポストにありつけたなら、同じような思いを抱く研究者の母たちに道を作りたい。全部手に入れてもいい、そのための努力をするなら、と言いたい。冒頭のようなお悩みには、貪欲にすべて手に入れろと答えたい。まずは、自分がそれを実現したうえでのことだけれど。

 

Photo by Raquel Martínez on Unsplash

 

育児で夫が指示待ち人間になったら、もう二度と愛せない

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タイトルに反して重要な前置きをすると、夫は家事も育児もよくやってくれている。仕事が裁量労働制で、時間の融通がききやすいと言うこともあるが、もともと子ども好きだし、自分のことより妻の心身の健康を心配して積極的に子守するような、いわゆるモラハラの対極にいる、よくできた夫だ。私はこよなく夫を愛しているし、さまざまな面で夫を尊敬している。

今日は毎月恒例の子どもの受診日だった。病院に着いてから、やるべきことがたくさんある。それらはほとんどルーティーンで、いつも同じ流れだから、次に何が起こるかをたいてい予測できる。しかし、夫はいつも、そこで起こる出来事にすすんで対処しようとしない。私が懸命に対処している間、夫は所在無げにうしろで見ているだけで一切動かない。その間にも、夫にしてほしいこと、手助けしてほしいことがたくさんあって、これまでもその都度、夫に指示して動いてもらってきた。でも、翌月になると振り出しに戻る。毎回、いちから指示しないと動かない。今日もまた例に漏れず立ち尽くす夫に、指示しなくても先々のことを予測して行動してほしいと話した。

すると夫は、しばらく考え込んだ後、こう言った。「病院で、いつもどうしていいか分からなかった。何かしなきゃと思いながら、何をすればいいのかわからない。考えついても、妻の望んでることと違うことをしてしまうのではと思って動けない。そもそも自分は、段取りを考えて動くことが得意ではない。指示してほしい。自分でこうしたほうがいいかなと思って動くと、こっちを先にやってと言われたり、余計なことをしてしまったりすることもあるから、そのほうが適切に動けると思う。」

この言葉を聞いて、そのときは「そうなんだね、わかった。」とだけ答えて、その場は終わった。しかし、この言葉があとからじわじわ胸にこたえてきて、全身の力がシューっと抜けるように何もかもが嫌になってしまった。

 

以前ツイッターか何かで、「子供が生まれたら夫の事は使えない新人アルバイトか、できの悪い部下だと思って、指示を出せ。やる気だけはあるから、指示さえ出せば動いてくれる。そうやって夫を育てて、うまく使え」というのを見たことがある。たしか、いいねが1万以上ついていた気がする。

でも私には、受け入れ難かった。あなたの夫はそうかもしれない、けれど私の夫と一緒にしないでほしい。私の夫は、使えない新人アルバイトでも出来の悪い部下でもない。一方的に妻が夫を育成する関係はもはや夫婦ではないし、それはある意味夫を見下す行為だ。育児という、夫婦にとって最も重要な局面でそんな関係を作ってしまったら、もう二度と夫に敬意を持てない。敬意を持てなくなったら、ちょっと話せば解決するようなことでも、勝手に諦めて話し合うこともせず、溝は深まっていくばかりだろう。敬意がなくなったら、少なくとも私にとって夫婦関係は終わりだ。

 

総じて、夫が後ろに下がって動かない時、それは夫にとって自分事ではないのだ。主担当である私を手伝うスタンスになっているとき。もしくは、担当したことがなくてやり方がわからないとき。あるいは、最初は主担当のつもりで動いていたのに、横から私に口や手を出されて、ゆっくりと後ろにフェイドアウトしていったとき。とにかく、夫が自分事として動けるような仕組みを夫婦で考えるしかない。

 

夫は同僚たちに、離乳食も作っているよと話したりする。でも夫は、今の月齢で子どもにどんな栄養素が必要かを知らない。その栄養素を取るために何の野菜を買うべきかわからない。食材を買ってきたあと、どう調理すべきかわからない。月齢ごとに、どのサイズで刻むべきか考えたことがない。各食材を1回にどのくらい摂取すべきか知らない。離乳食で夫がするのは、用意された食材を、指示のとおり茹でたり刻んだり小分けにして冷凍するところ。これらを、ときどきやる。たしかに、ある部分では離乳食を作っていると言えるかもしれない。でも、そうじゃないことを私だけが知っている。

 

そういうわけで、手始めに、次回の離乳食作りでは全ての工程を夫に任せてみる。翌月の受診日には、夫と子どもで病院に行ってもらう。信頼して、任せて、経験してもらう。毎回でなくていいから、経験したことをすっかり忘れてしまわないくらいの頻度で。私は夫を諦めない。

 

こんなはずじゃなかった〜NHK ETV特集

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NHKETV特集を扱う担当部署が解体の危機と聞いて、思いのほか落胆している。クオリティの高い番組が多く、なんだかんだでこれまで割と欠かさず見てきた。意識したことはなかったが、考えてみると、ETV特集を見るために受信料を払っているようなところもあったかもしれない。唯一、能動的かつ継続的にNHKを見るモチベーションだったと言ったら言い過ぎだろうか。応援する意味も込めて、印象的だった回を思い出しながら書いてみる。

 

「こんなはずじゃなかった」医師がガンになったとき。

NHKドキュメンタリー - ETV特集「こんなはずじゃなかった 在宅医療 ベッドからの問いかけ」

2017/7/15放送。「自宅の畳の上で死ぬのが極楽」という信念のもと、在宅医療を先頭に立って推し進めてきた老医師・早川一光氏。しかし自身がガンになって自ら作り上げた手厚い医療・介護を受けながら「こんなはずじゃなかった」と言う。なぜか?

施設から在宅、地域へと移行している医療介護政策のなかで、非常に興味深いテーマだった。

病気さえ治したらみんな患者さんは幸福になると思っていたら、どうもそうじゃない。病気は治したけども、その方が持っている暮らしの苦痛・心配事というのは、単なる医者では治らない。臓器を治すのではなくて患者さんの生活を治さんとあかん。人間をみる場合は、病気はもちろん、その方の生活を、悩みと苦悩、喜びも悲しみも一緒に見守ることが大事じゃないかと思うと、医学だけでは人は救えない。

自宅に戻っても、介護ベッドが入ったリビングやヘルパーに介助されて入る風呂が、まるで自分の家と思えない。何処かに連れてこられたような感覚は、ガンになって初めて知るものだったという。次第に、これは極楽ではなく地獄なのではないかと考えるようになる。

「さみしい。」病気をしてから、僕の胸を何度もよぎる感情です。心の奥深いところで常に流れている、この「さみしさ」を知ったとき、僕は驚き動揺した。「畳の上の養生は極楽」と、在宅療養を語ってきた。けれど畳の上にも天国と地獄、どちらも存在していることを知った。

自宅で、次男夫婦や孫たちとにぎやかに暮らし、定期的に訪問診療を受ける暮らし。病気による苦痛はあるけれど、晩年の暮らし方としてこれ以上ない満ち足りた暮らしに見える。しかし、それを「畳の上の地獄」と表現する。医療は、どこを目指して進むべきなのか。

老いと死に向き合うための人間学

そして早川氏は「総合人間学」にたどり着く。人間とは何かを問い直し、医学だけではなく生活科学や経済学、心理学などあらゆる領域を統合した「総合人間学」が、医師になるには絶対通らなければならない領域という。しかし、70年の医師生活と晩年の闘病生活を経ても、なおそれを言葉にして表現できずに苦悩する様子が描かれる。

「総合人間学というのは何だ」と言われると、もう僕は次が出て来ずに「ある。あるんだ。」俺は求めたけど、掴もうと思ったらもう煙のごとく消えてる。(中略)手を開いたら、ないという。それはいったい何だろうという。

早川氏が最も嫌だったという入浴介助をはじめ、あらゆる介護は、いつかテクノロジーに置き換わると思う。もどかしさや屈辱感を和らげて、より快適に介護を受けられる日は近い将来やってくるだろう。慣れ親しんだ自宅で、医療技術により苦痛が和らげられ、快適な介護を受けられるようになってもなお、私たちはきっと「足りない」と言うだろう。技術革新が起こって、社会の仕組みが変わっても、老いと死は避けられず、この悩みに対処するには、私たちの幸せの基準が変わらざるを得ないからだ。自分の幸せをどう定義するか、その基準や価値観はどこまでも自分が決めるしかない。弱音を吐いて諦めるか、這いつくばって最後まで悩み抜くか。早川氏は、後者だった。弱音とも取れる人間味あふれる言葉に、人間の底知れぬ強さを感じた。

枯れていくんやない、熟れていくんや。僕もだんだん動けんようになっていくやろう。でも、できるだけ熟していきたい。常に頭を柔らかくし、たくさんの人に食らいついてもらいたい。

 

Photo by Kristina Tripkovic on Unsplash

 

 

投票に行くことの意味〜アウシュビッツ収容所で考えたこと

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第一収容所 集団絞首台

アウシュビッツ収容所を訪問して、いくつか考えたことを何回かに分けてまとめます。

これまでの記事はこちらをどうぞ。

あなたにとって投票する意味は何か

18歳選挙権が認められるようになった。そうして投票できる人の母数が増えても、投票率は低いままだ。政治に関心がないとか、投票したい候補者がいないとか、行くのが面倒だからという理由が多いらしい。確かに、と思う。似たような思いを抱いたことがない人はいないんじゃないだろうか。

あなたにとって、投票に行く理由は何か。そう聞かれたら、答えはきっと千差万別だ。私自身も、投票に行くことの意味を自分なりに持っている。それは、数年前にアウシュビッツ収容所を訪ねたことから大きな影響を受けている。

ユダヤ人大虐殺の責任は誰にあるのか

なぜ、あのような大量虐殺の悲劇が起きたのか。その責任は誰にあるのか。ヒトラーのような人間が、なぜ一国の独裁者になることができたのか。

アウシュビッツ収容所を訪れる前の私は、ヒトラーのような人間が現れてしまったことこそが悲劇の始まりで、その責任は、ヒトラーと彼を選んだ当時のドイツ国民にある、という理解を持ってきた。

しかし史実をひもといていくと、実は当時のドイツで、ナチスに積極的に賛成していた人々は当初33%しかいなかったことがわかっている(「ヒトラーとナチ・ドイツ」より)。この33%は言うまでもなく無知な差別主義者であり、あの悲劇の責任の一端を担っている。しかし重要なのは、残りの7割だ。彼らは何をしていたのか。

当時ドイツは、第一次世界大戦で敗戦し多額の賠償金支払が課せられ、経済的に困窮していた。これが内向きの政治情勢に拍車をかけ、この時勢を捉えた数々の政策を打ち出したナチスが、最終的に過半数の賛成票を得て第1党となった経緯がある。つまり、残りの7割のうち、(一部はナチスに反対する人々であったが)多くは時代の空気に流された人々や、無関心な傍観者だったというのだ。

この人類史上最悪の歴史は、ヒトラーひとりが起こしたんじゃない。ナチスを選んだ33%の無知な差別主義者はもちろんのこと、時代の空気に流されて思考停止してしまった人々や、その他大勢の無関心な傍観者たちに、責任がある。

無関心な傍観者として、悲劇に加担しないために

このことを知ったとき、自分にとってこれが投票に行く理由だ、と感じた。

たった一票で何かが変わるとは思っていない。正直、投票所に足を運ぶのは面倒だ。毎回誰に投票すべきかとても悩むから、投票日が近づくと少し憂鬱になる。立候補者について完璧な情報を持ちえない上に、自分の考えと100%一致する候補者なんていないし、掲げられたマニフェストの是非を判断しきれないときもある。

それでも、誰かを選ばなければならない。無関心な傍観者にならないことが、まずは自分にできる最低限のことだと、歴史に学んだからだ。この一票を投じなかったら、そのことで将来起こりうる悲劇に対して、私は責任を取らねばならないと思う。時代の空気に流されて、よく考えもせずに何となく投じてしまった一票によって、知らず知らずとんでもない悲劇に加担してしまうかもしれない。思考停止してしまった自分にも、責任があると感じるからだ。

だから、私は必ず投票に行く。投票すべき候補者が見つからなかったら、この人だけは絶対に当選させたくない、という理由で他の候補者に投じることも厭わない。それもまた「この人を支持しない」という意思の表明になる。その積み重ねが、将来起こりうる悲劇を防ぐための、自分にできる唯一の行動だと信じている。

戦後生まれの世代に課せられた責任とは

アウシュビッツ収容所には、今も世界中から多くの訪問者が訪れる。特に欧州諸国では、中高生の頃に学校のプログラムの一貫として訪れることが多いらしい。そこでは、被害者であるユダヤ人と加害者であるドイツ人の子孫たちが、同じ場所でともに学ぶこともある。自分たちの祖父母世代がしたこと、されたことを突き付けられて、打ちひしがれる生徒も多いという。

ツアーガイドの言葉が、今も強烈に胸に残っている。

戦後生まれの人たちに、あの戦争の責任はない。しかし、将来同じ過ちを繰り返さないという、将来に対する責任があることを忘れてはいけない。

この言葉が、あらゆる場面で私の原動力になっている。将来世代に対する責任を果たすために、私は、この一票を放棄してはいけないのだと思う。

投票する意味を考える参考図書

「空気」の研究 (文春文庫) ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

 

 

アウシュビッツ収容所を巡る旅・5つの心得

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実際にアウシュビッツ収容所を訪問してみて、これから訪問する人向けの導入編として、心得のようなものをまとめてみたいと思います。

 

1. アウシュビッツ収容所は、最低でも2日かけて回ること!

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実際に行ってみて、アウシュビッツ収容所は2~3日かけて回ることをオススメします。見るもの・感じること・考えることがたくさんありすぎて、せっかく現地まで行ったのに、1日で見た気になってしまうのはもったいない。おすすめは、

1日目に、唯一の日本語公式ガイド・中谷剛さんと主要な場所を回り、
2日目は、自分の足でゆっくりと収容所のすべてを見て回る

というもの。もし3日目まで余裕がある人は、現地窓口で予約可能な英語のツアーガイドを申し込むのも良いと思います。他言語だとどういう説明になるのか、違いがあるのか、いろいろ気づくことも多いでしょう。

 

世界には、見どころのある場所がたくさんあります。もちろんポーランドにも、きれいな観光地がたくさんあります。でも、アウシュビッツは唯一無二の場所。とりわけ、アウシュビッツで中谷さんという稀有なガイドから説明を受けることは、これ以上ない経験になると確信します。これから博物館を訪れる方は、その絶好の機会を逃すことのないよう、しっかり中谷さんの予約を取ってから行ってきてください。

ガイドの予約の取り方など、事前準備については下の記事で書いています。

2. 展示より写真撮影より何より、1回目はまずガイド中谷さんの説明に集中すること!

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初めてアウシュビッツを訪れると、ガイドの説明内容の濃さと館内を巡るスピード、展示の情報量の多さ、そして収容所全体に流れる息苦しい空気感、それらのすべてに、とにかく圧倒されます。圧倒されて、浮足立って、とりあえず写真を撮ってみたり、ガイドが説明しなかった展示をチラチラ気にしているうちに、注意散漫になって一度きりの説明を聞き逃したりします。

そこで、まず1回目は、中谷さんの言葉を聞き漏らさないよう、集中して耳を傾けることを強くお勧めします。写真撮影や展示の説明をじっくり読むことは、あとでいくらでもできます。それが、この場所に2日間を費やす醍醐味でもあります。とにかく、ツアーガイド中は説明に集中して、心に引っかかることはたくさんメモをとって、たくさん考えることです。

中谷さんは本当に守備範囲が広く、気になることはその場で質問できるし、質問したほうが話が広く深く発展していくので、その豊富な引き出しをたくさん開けることをお勧めします。それだけの価値が中谷さんの説明にあって、日本でどれだけ本を読んでも映画を見ても、ここでしか学べないことがあります。日本のすべての人に、できるだけ若いときに、経験してほしいと強く願います。

3. アウシュビッツ収容所は、見る場所でなく考える場所である

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ガイドツアーで収容所を巡ると、スピードも内容も濃すぎて頭はフル回転だし、こみあげる涙を何度も飲み込んで、激しく頭と心が消耗してしまいます。特に展示物はショッキングなものが多く、うず高く積まれたユダヤ人の靴や毛髪などはTVでも見知っていたけれど、実際に目にしたその日の晩は、あまりのショックと疲労で眠れませんでした。

そして翌日、一人で収容所を回ったときの気分の落ち込みは、さらに酷いものでした。いちど見ているにもかかわらず、途中で気分が悪くなってしまう。それに比例するように、2日目になると思考はさらに広く深くさまよっていく感覚がありました。前日のガイドの説明をより深く理解できたり、新たな疑問が湧いてきてその場でスマホを取り出して調べたり、それでもわからないことはメモをとって考えながら歩を進めました。戦争、差別、自分の政治参加や投票への意識、ヘイトスピーチへの態度、難民問題、戦地ジャーナリストに対する自己責任論…。アウシュビッツの歴史が、今に確実につながっていて、なお歴史を超えられていない現状について色々と考えを巡らせる貴重な機会となりました。

印象的だった出来事。ビルケナウの第2収容所にある有名な長い線路の上を、爆笑しながら歩いている高校生くらいの女の子たちに出会いました。言葉がわからないのでどこの国の子か分からないし、話の内容も分かりません。これだけのものを見て、この場所に立って、どうしてそんな笑い声をあげることができるのか。なんというか、根本的な価値観の相違というか、断絶というか、わかりあえない絶望感のようななものでいっぱいになりました。でも次第に、そういう人がいるというのもまたこの世界が多様であることの証明なのだと思えてきて、それを受け入れられない・排除したいと思うことこそが過ちの繰り返しなのだと気づきました。そういう人もいるけれど、そういう人が多数派になって取り返しのつかない過ちを犯すことがないように、私たちは考え行動し続けなければならないのでしょう。

4. 疲れたら、館内食堂で名物ジュレックを飲んでひと休み

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アウシュビッツへの訪問は4月の初旬。セーター+ダウンコートでも寒くて、特に2日目は雨も降っていて手がかじかむほどでした。これ以上に寒いなか薄着で強制労働させられてたのかと思うと、言葉を失います。一人でぶらぶら見学したのは3時間程度でしたが、寒気がして頭が痛くなるくらい全身クタクタになりました。

博物館の敷地内には、食堂や小さなブックストア、トイレなどが併設されたレンガ作りの建物があります(画像左)。ツアー開始や帰りのバスの待ち時間などに気軽に利用できます。カフェで飲んだジュレック(ポーランド名物のスープ)が感激するほどおいしくて、冷え切った体にアツアツのスープがしみました。

5. 博物館までは、大型バスで行くのがオススメ

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博物館のあるオシフィエンチムまで行くバスには、大型バス(画像)とミニバスがあります。地上から発車するのが大型バス(14ズロチ)で、地下から発車するのがミニバス(12ズロチ)。

大型バスは高速道路を走るので快適だし、博物館の目と鼻の先まで乗せてくれます。一方、ミニバスは本数も多くて少し安いけれど、ガタガタの下道を通っていくので、車酔い体質にはきつい。乗車してくる人を乗せたり信号で停まるたびに急ブレーキを踏むので、ずっと吐きそうでした。また、大型バスと比べて博物館の入口から少し離れた場所に停車します。車酔いしない人で、街並みを見ながらゆっくり向かいたい人はミニバスもお試しください。

 

製品化希望!まだ世にないけれど、産後に欲しかったものリスト ~新生児編

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妊娠中から産後に必要なものをあれこれ準備しましたが、いざ生まれてみると、産前には予測不能な必要物品がいくつかあって、その多くを買い足しました。なかには、探しても探しても希望に合うものが見つからない、そもそも製品化・サービス化されていなかったり、類似品は出ているが理由があって使えない、といったことがありました。

産後8か月が経過し、新生児の頃の記憶が薄れてしまう前に、思い出しながらリスト化してみます。あくまで一個人のニーズですので、そんなもん要らんという人が多数と思いますが、もしベビー用品の製品開発者の方が見ていたら、ぜひとも商品化おねがいしまーすという気持ちでメモします。

1.どんな哺乳瓶でも高速で人肌にする器械

我が家は産後、思うように母乳が出なかったため、ミルクとの混合でした。ミルクはだいたい3時間おきに飲ませるよう指導されますが、新生児の頃は特に、3時間も経たないうちに、何の前触れもなくお腹を空かせて急にギャン泣きします。瞬間湯沸かし器状態。それも、生きるか死ぬかの切迫感です。そうなったら、悠長にお湯を沸かして粉ミルクを溶かして人肌に冷ましている余裕はありません。我が家では時間短縮のため、授乳が終わったら、次回分のミルクをあらかじめ作って冷蔵庫で冷やしておいて、次の授乳のときにそれを温めて飲ませていました。(※自己責任です)

しかし!この「温める」工程もけっこう時間がかかる。かかるといっても、せいぜい5分程度ですが、この世の終わりかという大絶叫を聞きながら、片腕でゆらゆら抱っこしつつ、熱湯に漬けている哺乳瓶の温度を確認し、あぁまだ冷たいと待ち続ける5分は本当に長い。うっかり温めすぎてアツアツになってしまったら、今度は哺乳瓶を氷水に漬けたりして冷まさなければならず、その間も泣き叫ぶ赤子を抱いてウロウロして、それが深夜だったら、なんかもう涙出てくるぐらいツライです。

この5分を1分に短縮してくれて、ちょうどいい人肌になったらお知らせしてくれる高機能哺乳瓶があったら良いのに!!

これ、実は類似品がすでに販売されています。その名もyoomi。専用哺乳瓶をウォーマーにセットしてボタンを押すだけで、60秒で適温に温めてくれる高機能哺乳瓶。素晴らしい。

使わなかった理由:yoomi専用の哺乳瓶しか使えない

でも残念なことに、yoomi専用の哺乳瓶しか使えない。母乳育児を目指している人は、乳頭混乱が起きにくいように、母乳相談室とか母乳実感など特定の哺乳瓶を使ってトレーニングしている人が多い。これが使えないのは困るので、我が家ではyoomi断念。もちろん製品のコンセプトはとても良くて、yoomi哺乳瓶でOK!という方はマストバイだと思います。どのメーカーの哺乳瓶でも使えるウォーマーが製品化されていたら、多少お値段が張っても欲しかったなぁ。

 

2.ハンズフリー搾乳機

最初の頃、我が子はNICUに入っていて母乳を届けなければならなかったので、自宅で搾乳をしていました。当初は手搾りだったけど腱鞘炎になりかけて、メデラの自動搾乳機を購入しました。

でもこれ、20-30分近く両手がふさがってしまいます。産後はとにかく時間が足りなくて、体を休めたり他のことをしたくても、胸に搾乳機を当ててじっと待つしかない。特に子どもが眠っている間に搾乳していたので、TVを付けることもできず、スマホをいじることもできず、3時間おき1日8回の搾乳時間はとても苦痛な時間でした。そんなとき、ハンズフリーの搾乳機があれば!と思ったものでした。

実はこれも、すでに製品化されています。搾乳機ではなく、搾乳機を取り付けられるブラジャーという形で。画像を貼ってみましたが、すごい絵力。

ハンズフリー授乳下着 授乳ブラ 産後搾乳機専用ファスナーブラ マタニティー授乳下着 …(L)

使わなかった理由:乳腺を押さえる必要があり、結局手は空かなかった

でも残念なことに、我が家ではこれも採用できませんでした。なぜなら母乳の出が良くなかったため、おっぱい周囲の乳腺を押さえながらでなければ、十分な量の搾乳ができなかったからです。これを付けて搾乳機を手から離しても、結局、両手は乳腺を押さえているので意味なし。あえて言えば、これがなければ片方ずつ搾乳することになるので、それを一気に両方できるという意味で時短にはなるかもしれません。乳腺を軽く押さえてくれる機能までメーカーに要望するのは、さすがにマニアックすぎて需要がないでしょうね…。それよりなにより一番いいのは、腕が4本になることですね。

 

3.産科での円座レンタルサービス

産後は、分娩時にバチンと切られた会陰切開の傷が痛くて、円座なしにはどこにも座れませんでした。入院中は産科にたくさんある円座を使い放題ですが、家に帰ってからがほんとーに大変。どこにも座れない。かといって、医療用のがっちりした円座って、買うとけっこう高いんです。お手頃な価格の空気を入れるタイプや低反発のものもありますが、座り心地が安定しないせいか痛みが出たりして、クッションが固くがっちりした作りの医療用円座が最強でした。

これ、大きめの産科だったらまとめて購入して、産後のママたちにレンタルしてくれたら良いのになーと思いました。せいぜい1ケ月くらいしか使わないので大きな収益にはなりにくいと思いますが、ニーズは確実にあるので、一定の回転率でまわるサービスだと思います。

 

4.夜泣き対策の完全防音空間

我が家は賃貸なので、夜泣きによる近所迷惑については出産前から頭を悩ませていました。もちろんご近所には産後すぐ菓子折り持参でご挨拶にうかがっていましたが、それでは許してもらえないだろうというレベルの夜泣き。自分が眠れないとかツライとかそんなことより、ご近所に申し訳ない!クレームがきたら、通報されたらどうしよう!すぐに泣き止ませなければ!泣き出す前に泣かせないように対処しなければ!と、ものすごく神経質に緊張して、常にいたたまれない気持ちでした。ワンオペだったら、病んでたかもしれません。

いくら夜泣きしてもかまわない環境だったら、もっとおおらかな気持ちで過ごせるのに。泣いてもいいんだよ、という気持ちで、少し泣かせておくくらいの心の余裕が持てるのに。そう思って、騒音対策の製品を調べまくりました。壁に防音シートを貼ったり防音カーテンを付けたりというくらいでは、どうしようもないレベルの大絶叫だったので、子どもが泣いたら逃げ込める完全防音の空間、という観点で調べました。

ネットで出てきたのは、10万円前後の簡易防音ルームとか↓

簡易吸音室 ライトルーム Lサイズ 1人用 Infist Design

段ボール製の組み立て式簡易防音室だんぼっちなど。↓ 

組立式 簡易防音室 だんぼっち

でも、どれも高いし、空気が悪そうだし、夏は暑いし、不要になったら処分するのも大変。却下。

一番現実的だったのは、ヤマハのレンタル防音室でした。月1万円ちょっと~から揃っていて、オプションでエアコンも装備できます。とはいえ、借家に設置するのは結構大がかりな感じで躊躇してしまうし、広い空間が必要だし、オプションつけるとレンタル料がバカにならない。↓

結局、既存の製品では解決策が見つからないまま、大変な夜泣きの時期を過ごしました。本当にどうしようもないときは、よくある話ですが、車に籠りました。ちなみに我が家の車庫は頑丈な鉄筋で完全防音に近かったので、深夜2時に泣き止まなかったときは、いったん外に出て車庫に止めた車の中で子どもをあやしました。車庫がなくても、住宅街から離れたところまでドライブするという手もありますね。

とはいえ、やっぱり家にいる状態で何か対処できる方法・製品はなかったのか…と今でも思います。既存のレンタル防音室ほど大がかりでなく、自分で設置できるレベルの簡易性と完全防音を満たす、夢のような製品。

 

5.水回り自動掃除機

我が家は産後に備えて、食洗器・洗濯乾燥機・ルンバ・ホットクック(自動調理器)などの時短家電を買いそろえていました。でも、盲点は水回りの掃除。産後1ケ月はお風呂に入れないし、水仕事なども避けるように言われているけど、風呂場や洗面台、トイレなどの水回りは容赦なく汚れていきます。もちろん夫が掃除しましたが、いろんな家事が自動化されているこのご時世、水回りだけ手作業なんて効率が悪すぎます。早く、早く水回り関連の自動化を!開発者の皆様、お願いします!!

 

ほかにも、思い出したら追記していきます。

 

Photo by Nyana Stoica on Unsplash