LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

ストレングスファインダーで資質を知れば、無理せず楽に生きられる

公務員を退職したら何をしようか?自分にはどんな仕事が向いているのか?そんな方には、まずストレングスファインダーという自己診断を受験することを強くおすすめします。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
 

実は私も、30代半ばを過ぎ、初めてストレングスファインダーをやってみました。結論から言うと、これは何歳になっても、誰もが一度は体験してみる価値があるものだと思います。

ストレングスファインダーは、知っている人も多いと思いますが、いわゆる自分の強みを明確化して、その強みに特化した仕事選びや働き方を考えることを目的としたものです。ここでのポイントは、弱みを気にしないということ。この手の自己診断は、無料のものから有料のものまで有象無象、巷に溢れていますが、このストレングスファインダーは診断の精度と内容の充実度が桁外れで、類似の自己診断テストの中で最上と謳われています

ストレングスファインダーは、特に強みを重視して伸ばすことが目的なので、34の性質のうち、トップ5の性質に特化して、これを伸ばすことを目指します。以前は、この34の順位すべてを開示するために10,000円以上かかったのですが、今はおよそ半額で提供されています。

私自身、かなり前から興味はあったものの、就職活動中の大学生でもあるまいし、ミドルエイジの自分がいまだに自分の強みを知ろうとしてるの、恥ずかしすぎるだろ…知ってて当然の年齢だろ…などと躊躇していました。しかし、実際にやってみて、これは何歳になっても、誰もが一度は体験してみる価値がある、と強く思います。40代でも50代でも60代でも、思い立ったら今すぐやるべき、と強くおすすめする理由は次の5つ。

理由①強みを伸ばすために何をすべきか、具体的な提案や示唆が数多く与えられる

30代以降の人にとっては、診断前に自覚していた自分の強みと、大きく異なる結果にはならないかもしれません。しかし、重要なのは強みを知っていることでなく、それを伸ばす具体的方法・現実的手段を知っているかです。私自身、診断結果として得られたトップ5の強みは、目新しいものではありませんでした。しかし、その5つを伸ばしていくために具体的に何をすべきかは、よくわかっていませんでした。これまでの類似の自己診断では、結果を受けて、強みは〇〇なんだ、なるほどね、人事面談の時にでもアピールしよう、というくらいのものでした。しかし、ストレングスファインダーは、将来さらに強みに特化した尖った職業人になるために、どんなことにチャレンジすべきか、何に気をつけていくべきかという、具体的な提案や示唆を数多く与えてくれる点が、他とは違うと感じました。

理由②強みを組み合わせることで、代替不能な自分の独自性に気づける

自分の強みを組み合わせると、何ができるのか?という視点も、ストレングスファインダーならではです。34の資質の組み合わせパターンは無数にあり、受験者全員が異なる結果になっているといっても過言ではありません。得られた結果をもとに強みを組み合わせて、どんなことができるだろうか?などと考えを巡らすのは、けっこう楽しい時間でした。お酒を片手に、金曜の夜にでも、診断結果を酒の肴にしながら考えてみるのもよいかもしれません。

理由③強みを阻害する要因(弱み)への、具体的対処法が明示される

ストレングスファインダーでは、基本的に弱みは気にしません。ただし、強みを阻害する場合には、なんらかの対処が必要だと考えます。このときの主な対処法は、A.ほかの強みでカバーするか、B.弱みを補ってくれる人や物の助けを得る、というもの。さきほどの理由②の組み合わせにも関連してくるので、合わせて考えてみるのがおすすめです。

理由④人間関係が楽になる

これだけ強みばかりに注目して考えていると、他人のことも同じ視点で考えられるようになります。この人苦手だな、この人のこういうところは短所だな、などと、他人の嫌なところや欠点が目に付いたとき、以前だったら、この人とは細心の注意を払って付き合おう、距離を置こうなどと、欠点をそのまま欠点と捉えるしかありませんでした。ストレングスファインダーを受験すると、強みに注目することを徹底して訓練されるので、他人の欠点を見ても、それをポジティブに捉えることができるようになります。あの人は配慮もなく言いたいことをズケズケ言ってきて嫌な人だな、という思考から、自分の気持ちをオープンに表現できる嘘のない人だな、という捉えかたに変わるわけです。それが自分にない資質だった場合、以前なら私とは違いすぎる、付き合っても疲れるだけでうまくいかない、と思ってしまうところ、ストレングスファインダーを受けた後には、自分にはない資質だからこそ、自分の弱みを補ってくれる存在になるかもしれない、仕事仲間として助け合えるかもしれない、などと考えられるようになります。私自身、他人の欠点ばかり見つけてしまう自分の性格が嫌いでした。しかし、他人の欠点を見つけられるということは、その人の強みを見つけていることと同義であり、自分の資質と組み合わせたらどんな面白いことができるだろう?というポジティブ思考になれたことは、想定外の大きな収穫でした。

理由⑤自分の行動が変わる

何となく自分にはこれが向いてるだろう、などと考えてきたことが、すっきり整理されることで、自信をもって物事を進められます。逆に、今まで選んで来なかった選択肢の中に、実は本当に向いてることがあったんじゃないだろうか、などという未練がましい考えをばっさり捨て去ることができます。すると、迷いがなくなります。迷いがなくなると、とにかく何か具体的なことを始めなければ、という気持ちになります。試してみたいことが、たくさん増えるのです。実際に私も、自分の強みを伸ばすための新しい日課ができました。そして短期的、中期的、長期的にやるべきことが少しずつ整理されつつあります。

ストレングスファインダーはある意味、自分の資質に従うことで、無理せず楽に生きていくためのツールなのだと思います。

公務員退職者ブログまとめ、久しぶりに更新しました(1年ぶり…)


 

久しぶりに公務員退職者のブログをいろいろと検索していたら、以前に比べてたくさんの情報がヒットし、なかでも元公務員ブロガーが大幅に増えていました。上の記事を最初に作成したのは2015年10月でしたが、その頃はまだ数えるほどしか「元公務員」の情報発信はありませんでした。現在では、月間90万PVを稼ぐような大型ブロガーも誕生していて、 いいぞいいぞもっとやれ!!という気持ちでいます。

このブログでは、定期的に上記記事を更新して、たくさんの成功事例を紹介していきます。もちろん、私自身の経験も引き続き書いていきます。

公務員を退職したら、資産形成はどうすべき?

今回は、公務員退職後の資産運用について、自分なりにいろいろ調べた中で、現時点でこれが最適解と思える結論にとりあえず達したので記録しておきます。

実は私、公務員時代はほとんど資産運用を行っていませんでした。ゆうちょの普通預金と定額預金のみ。退職後に不安になって、徹底的に調べ、実際に運用もしてみて、①公務員退職後に、まだ転職活動中のうちから始める資産運用と、②転職が決まったら始めるべき資産運用の2パターンを備忘録として書き留めておきます。あくまで現時点における個人の考えとしてご覧ください。

この記事では、詳しい制度の説明などはしません。そのへんのことは、ほかのネット記事やブログで懇切丁寧な説明がされていますので、わからない言葉や概念は適宜検索してみてください。

基本スタンス

基本的に、元本割れは絶対に避けたいと思っています。でも普通預金や定額預金に入れたまま死に金にもしたくない。あるていど資金が貯まるまでは、できるだけリスクを避けつつ、長期的に、無難かつ効率的な資産運用をしたい、というのが基本スタンスです。

資産運用の大前提

長期積立が大前提

投資信託などの資産運用には、多かれ少なかれリスクがあります。しかし、長期で運用することにより、上振れと下振れのリスクが平均されて、長期では平均+5%くらいの成長が見込めるというのが、ドルコスト平均法の考え方です。銀行の定額預金にいれていてもゼロ金利のためお金が増えることはありませんが、たとえば公務員退職後の20代後半から月に2万円ずつ、貯金感覚で投資信託に長期積立していくだけで、そこに平均して5%の金利複利でついて、老後に足りないといわれる2000万円を余裕をもって準備することが可能になります。

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https://www.youtube.com/watch?v=Gu_1Nhsl5ZE

結論①公務員退職後の資産運用(転職活動中)はこうすべし

まず、収入を確保する(少なくても良いので継続的に)

転職活動中であっても、まずは、おこづかい程度でよいので収入を得る方法を見つけましょう。収入がまったくゼロになるのは精神衛生上もよくありません。自分がいち個人として、どういう価値を提供できるのかを確認する意味でも、何らかの仕事をしましょう。その際、スーパーのレジでアルバイトをするよりも、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドワーキングサービスを利用して、いろんな仕事を引き受けてみることをおすすめします。これらのサービスは過去の仕事の評価によって信用度が変わるため、仕事を始めたばかりの頃は安い価格でしか仕事を受注できないと思います。しかし、できれば転職活動中、数か月は続けてみてください。よい成果・評価が蓄積されていくと、次第に単価の高い仕事を受注しやすくなります。また、自分がどういう仕事をすると評価が高いのかがわかってきます。これは、転職活動においてもプラスになると思います。

収入の2~3割を積立NISAの投資信託で運用する

そうやって例えば月に10万円稼げるようになったら、ネット証券で積立NISAの口座を開設して、月に3万円くらいを投資信託に回すことを目標にします。これは、以降ずっと持ち続ける(継続して買い続ける)ことが前提で、値下がりしたからといって売ってしまうのはご法度です。買ってよいのはインデックスファンド(世界株、先進国株、日本株が原則)のみ。また、複数のインデックスファンドに分散投資することが必須です。分散投資は、なるべく株価が連動しない銘柄を組み合わせることが原則です。例えば、世界株と日本株相関係数は約0.6くらいなので、これらはどちらも保有しておくのがよいでしょう。世界株6割・日本株4割くらいで分散投資するのがおすすめです。月10万円稼ぐケースなら、以下のような投資になります。

  • 全世界株式または先進国株式のインデックスファンド2本(各1万円ずつ)
  • 日本株式(TOPIX型)のインデックスファンド1本(1万円)

具体的にどの銘柄のインデックスファンドを購入すべきかは、購入時点の手数料・信託報酬がもっとも低いものを選ぶというスタンスで十分だと思います。現時点だと、だいたい0.2~0.6ぐらいのものが多いので、0.2付近のものを探してみるのがおすすめです。また、株式+債券などのバランスファンドよりも、株式のみのファンドを選んだほうがよいです。

まとまった金額(数百万円)の貯金があるなら、無リスク資産とリスク資産に分けて管理する

公務員時代の貯蓄がある程度まとまった額あるなら、一部を無リスク資産として保有します。このときの無リスク資産は、元本割れしないで保有することを大前提とします。ただし、普通預金に入れていても0%金利で機会損失が大きいので、この場合、個人向け国債変動金利型10年満期を購入します。残りはリスク資産として、一般NISAで運用していきます。このとき、時間分散(例えば300万円を月10万円ずつ長期積立するなどのやり方)は無意味どころか機会損失が大きいので、最初から300万円を投資します。ただし(時間分散は無意味ですが)投資対象の分散は必須です。

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https://www.youtube.com/watch?v=ivm3jh6Rt3w

結論②公務員退職して、転職してから始める資産運用はこうすべし

転職後の資産運用では、税制のメリットを最大限受けるために、活用する優先順位があります。優先度の高いものから、活用可能な上限額いっぱいに活用して、次の優先度の資産運用を行う、という流れで考えていきます。以下の全ての事項を行える余裕があるのが最適解です。

ここでは転職後と銘打っていますが、まだ公務員を退職していない人は、実際に退職するか否かに関わらず、今すぐに始めましょう。

優先事項①勤める会社で運用している確定拠出年金を最大限活用する

まずは自分が勤める会社で確定拠出年金の制度があれば、それを優先して使います。

優先事項②iDeco(個人型確定拠出年金を最大限活用する

就業形態や年収などによって、投資枠の上限額が異なりますが、これも最大限活用するようにします。

優先事項③積立NISAを利用する

転職活動中から積立NISAを利用していたなら、それを持ち続けて、かつ年間40万円の投資枠を最大限活用します。

優先事項④(積立NISAの上限額を超える額を運用できるなら)一般NISAを利用する

一般NISA(年間120万円)まで投資枠を広げることが可能なら、さらに分散投資を進めて、株式のインデックスファンドだけでなく、リート(不動産投資信託)インデックスにも分散投資するのがオススメです。

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https://www.youtube.com/watch?v=HWZ9gwLYJ3o

公務員退職後の資産運用に関するオススメ動画

山崎元さんや、勝間和代さんの動画がわかりやすくて超絶おすすめです。


「ほったらかし投資術」について(山崎 元)


iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの使い分け(山崎 元)


勝間和代のお金のレッスン。「ドルコスト平均法」を始めよう。10年間で倍にするのも夢じゃない!!


勝間和代の、ドルコスト平均法の積立には、不動産投資信託(REIT、リート)のインデックスがおすすめです

スマート体組成計と活動量計は人生100年時代への備え

育児は毎日体力を使う。 10キロを日に何度も抱え上げ、立ったり座ったりを繰り返す。歩けるようになったらもう、抱っこ紐やベビーカーで大人しくしてはくれないから、子どものペースで歩いたり座ったり走ったり曲がったりを繰り返す。子どものペースでいられない時は、片手に10キロ抱えてもう一方でベビーカーを押して移動する。この10キロは、お米の10キロとは違う。米袋は動かない。こちらは、自分で歩きたくて下ろせ下ろせと必死に抵抗する10キロなので、実質15キロ相当。先日は、とある事情により、そんな状態で抱っこしたまま約2キロ歩いて死んだ。こんなこと産前は想像もつかなかったけれど、子どもの成長と親の腕力は比例するものらしい。

腕力と引き換えに、失っているものがある。運動と睡眠だ。もともと体を動かすことが好きなのに、子供のために体力を温存しておかなければ、という気持ちになってしまって運動しなくなった。加えて、睡眠不足。この2つがじわじわ効いてきて、最近は慢性的な疲労感でエネルギー不足だった。なんとかしなければ、まずは現状を見える化して、分析して、対策を練る必要がある。

大学が夏休みに入って非常勤の講義が終了し、少し余裕が出てきたので、善は急げでAmazonにてぽちぽちガジェット購入。

 

子育て中の活動量計は足に装着可能なMisfit Ray一択

歩数計と消費カロリー計測と睡眠ログの機能がついた活動量計を探したけど、腕につけるスマートウォッチタイプがほとんど。育児中は子どもを抱っこすることが多くて腕時計は不向きなので、足首につけられるタイプを探したところ1件だけヒット。デザインも良いし、8グラムで軽いし、電池も長持ちなうえ、防水なのでお風呂でいちいち外さなくて良いという、育児中にぴったりの製品。さっそくアプリでデータ管理して活用しています。いまのところ、いい感じ。目立った運動はしていないものの、毎日の家事育児でそれなりの歩数を稼いでいます。

 

スマート体組成計って、こんなに進化してたの!?

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もうひとつはスマート体組成計。いままでふつうの体重計を使ってましたが、約3000円で13項目の測定ができて、Bluetoothでアプリと連携できるなんて、断然買い替えて良かったです。時系列でグラフ化してくれるので、これから楽しみ。13項目も必要あるのか?と思ってましたが、体重が増えてても筋骨格量が増えていれば問題ないとか、水分量がいつもより多いせいだなとか、体重の中身(質?)を確認できるのが良いです。夫婦で情報共有できるので、体重増えたけど昨日はほら飲み会だったから…とか、さっきアイス2つ食べちゃったから…とか言い訳したりしながら、ゆるく監視し合っています。

人生100年時代と言われて、老後に2000万円足りないとか脅されると、貯金とか家を買うとか目に見えるものに対して優先して備えたくなるけど、個人的には断然、健康に投資すべきだなと考えています。寝たきりのお金持ちより、健康な貧乏!健康なら、とりあえず働いたり遊んだりできる!と思って、今日も歩きます。

公務員退職して大学院に戻って結婚して出産した。残すは常勤ポストへの就職のみ?

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発言小町の、研究職を目指すポスドク33歳女性の悩みが切実すぎた。妊娠と就職のトレードオフ。気持ちが分かり過ぎる。

https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2013/0723/607061.htm

 

かく言う私も、新年度を間近に控えて、否応なくこれからの進路について思い悩む日々を送っている。

公務員を退職して3年がたつ。その間、大学院に戻って好きだった研究活動を再開し、大学院生兼研究員をしながら、個人事業主として調査研究の仕事も受けつつ、結婚し、出産もした。

4月からは、子どもを一時保育に預けながら、非常勤講師をしつつ、いよいよ博士号の学位取得に王手をかける。来年度は、博士論文の他にどれだけ業績を増やせるかが、就職活動に大きく影響してくる。

そろそろ学振の申請タイミングでもあるので、RPD(出産育児で研究中断した研究者への助成)の申請準備もしている。でも正直、研究業績が足りなすぎる。今回は自分の立ち位置を知るための申請と割り切って、来年以降に照準を合わせる方針。そのほか助成金の申請も手あたり次第にする予定。やることは山ほどある。

 

出産前も覚悟していたけれど、体力はもちろん、気力を奪われることが何より研究活動に支障をきたしている。自分でコントロールできることが、おそろしく減った。とにかく寝たい、休みたいという欲求にあらがって机に向かうことが、かつてないほど難しく感じる。将来のことを考えると、泣きたい気持ちになる。

それでも本音を言えば、できるなら子どもはもうひとり欲しい。夫にも誰にも言わないけれど、ひっそり思う。1人でもこれほど削られるのに、2人になったら、たぶん私はもう研究には戻れない。わかっている。30代半ばという年齢的に、妊娠も就職も、今を逃したらもう難しい。

 

私がいつか、常勤の研究職のポストにありつけたなら、同じような思いを抱く研究者の母たちに道を作りたい。全部手に入れてもいい、そのための努力をするなら、と言いたい。冒頭のようなお悩みには、貪欲にすべて手に入れろと答えたい。まずは、自分がそれを実現したうえでのことだけれど。

 

Photo by Raquel Martínez on Unsplash

 

育児で夫が指示待ち人間になったら、もう二度と愛せない

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タイトルに反して重要な前置きをすると、夫は家事も育児もよくやってくれている。仕事が裁量労働制で、時間の融通がききやすいと言うこともあるが、もともと子ども好きだし、自分のことより妻の心身の健康を心配して積極的に子守するような、いわゆるモラハラの対極にいる、よくできた夫だ。私はこよなく夫を愛しているし、さまざまな面で夫を尊敬している。

今日は毎月恒例の子どもの受診日だった。病院に着いてから、やるべきことがたくさんある。それらはほとんどルーティーンで、いつも同じ流れだから、次に何が起こるかをたいてい予測できる。しかし、夫はいつも、そこで起こる出来事にすすんで対処しようとしない。私が懸命に対処している間、夫は所在無げにうしろで見ているだけで一切動かない。その間にも、夫にしてほしいこと、手助けしてほしいことがたくさんあって、これまでもその都度、夫に指示して動いてもらってきた。でも、翌月になると振り出しに戻る。毎回、いちから指示しないと動かない。今日もまた例に漏れず立ち尽くす夫に、指示しなくても先々のことを予測して行動してほしいと話した。

すると夫は、しばらく考え込んだ後、こう言った。「病院で、いつもどうしていいか分からなかった。何かしなきゃと思いながら、何をすればいいのかわからない。考えついても、妻の望んでることと違うことをしてしまうのではと思って動けない。そもそも自分は、段取りを考えて動くことが得意ではない。指示してほしい。自分でこうしたほうがいいかなと思って動くと、こっちを先にやってと言われたり、余計なことをしてしまったりすることもあるから、そのほうが適切に動けると思う。」

この言葉を聞いて、そのときは「そうなんだね、わかった。」とだけ答えて、その場は終わった。しかし、この言葉があとからじわじわ胸にこたえてきて、全身の力がシューっと抜けるように何もかもが嫌になってしまった。

 

以前ツイッターか何かで、「子供が生まれたら夫の事は使えない新人アルバイトか、できの悪い部下だと思って、指示を出せ。やる気だけはあるから、指示さえ出せば動いてくれる。そうやって夫を育てて、うまく使え」というのを見たことがある。たしか、いいねが1万以上ついていた気がする。

でも私には、受け入れ難かった。あなたの夫はそうかもしれない、けれど私の夫と一緒にしないでほしい。私の夫は、使えない新人アルバイトでも出来の悪い部下でもない。一方的に妻が夫を育成する関係はもはや夫婦ではないし、それはある意味夫を見下す行為だ。育児という、夫婦にとって最も重要な局面でそんな関係を作ってしまったら、もう二度と夫に敬意を持てない。敬意を持てなくなったら、ちょっと話せば解決するようなことでも、勝手に諦めて話し合うこともせず、溝は深まっていくばかりだろう。敬意がなくなったら、少なくとも私にとって夫婦関係は終わりだ。

 

総じて、夫が後ろに下がって動かない時、それは夫にとって自分事ではないのだ。主担当である私を手伝うスタンスになっているとき。もしくは、担当したことがなくてやり方がわからないとき。あるいは、最初は主担当のつもりで動いていたのに、横から私に口や手を出されて、ゆっくりと後ろにフェイドアウトしていったとき。とにかく、夫が自分事として動けるような仕組みを夫婦で考えるしかない。

 

夫は同僚たちに、離乳食も作っているよと話したりする。でも夫は、今の月齢で子どもにどんな栄養素が必要かを知らない。その栄養素を取るために何の野菜を買うべきかわからない。食材を買ってきたあと、どう調理すべきかわからない。月齢ごとに、どのサイズで刻むべきか考えたことがない。各食材を1回にどのくらい摂取すべきか知らない。離乳食で夫がするのは、用意された食材を、指示のとおり茹でたり刻んだり小分けにして冷凍するところ。これらを、ときどきやる。たしかに、ある部分では離乳食を作っていると言えるかもしれない。でも、そうじゃないことを私だけが知っている。

 

そういうわけで、手始めに、次回の離乳食作りでは全ての工程を夫に任せてみる。翌月の受診日には、夫と子どもで病院に行ってもらう。信頼して、任せて、経験してもらう。毎回でなくていいから、経験したことをすっかり忘れてしまわないくらいの頻度で。私は夫を諦めない。