韓国は超学歴社会なのに、日本より格差が小さいという事実。
韓国で、日本のセンター試験にあたる「大学修学能力試験」が12日に実施されたそうで、その様子を伝えるNHKニュースが面白かった。
遅刻しそうな学生を警察が会場まで送り届けたり、リスニングの時間は飛行機を飛ばさないようにしたり、とにかくすさまじい対応っぷり。
そんなに必死になるくらい、学歴がないと大変な社会なんだろうか?
韓国は競争優位の格差社会なのか?
ということで、国別のジニ係数を見てみた。
ジニ係数とは、0から1の数値をとり、小さいほど格差(不平等)が小さいことを示すもの。下表は、所得再分配前と後のジニ係数をプロットしたものです。
これを見ると、なんと韓国は、一番左に位置しています。
つまり、韓国は所得再分配前から、すでにOECD諸国でもっとも格差が小さい国であるということ。韓国が競争優位の格差社会であるという見解は誤りであることを示しています。
それなのに、学歴争いにあくせくしているというのはなんとも不思議なかんじですね。むしろ日本の方が、OECD平均より数値が若干高く、格差社会であると言えるのです。
気になるのは、所得再分配後の数値が(再分配前と比べると)高めであるという点。つまり、年金給付や税負担によって、格差が大きくなっているということ。なぜか。
その答えとして有力な説が、日経ビジネスに掲載されています。
韓国では、年金制度が成熟していないため、退職世代において格差が大きくなっている、という説。
一般的な感覚では、雇用不安などにより若い世代で格差が拡大してるのでは?と思われがちですが、再分配前のジニ係数の低さにより、それは否定されます。
もともと得た所得については格差が小さいけれど、その後の再分配により、とりわけ退職世代で格差が大きくなっているというのが、正しい見方というわけです。
他方で、韓国の直近のジニ係数は急速に高くなってきているとも言われています。上記は2008年時点のデータなので、状況はより深刻になってきていると考えられます。
<データ出所>