LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

許すこと。

解縛: しんどい親から自由になる

小島慶子『解縛:しんどい親から自由になる』。

苦悩なんていう言葉じゃ全然足りない。摂食障害と不安障害を抱えて、血を吐くように生きてきた著者の痛み。これほどまでの鋭い感性と洞察力によって、自分の苦しみの根源を突き詰めることは、どれほど辛いことかと想像します。と同時に、彼女を苦しめた「自意識」がなかったら、この本がこんなに価値を持つことはなかったでしょう。久々に泣けました。

家族との関係性や、捨てられない自意識など、共感できる部分が多すぎた。心に残った言葉を備忘録として残します。

家族・人間関係について

・人は家族を諦めることは、もしかしたらできないのかもしれません。けれど、手放すことはできる。縋りつき絡みつけた手を放して、お互いを自由にすることはできます。それは全てを良いようにも悪いようにも誤解する自分の曖昧さを引き受けることであり、相手も同じように不確実な存在であることを受け入れることなのでしょう。

 ・いることといないこと、近いことと遠いことの曖昧さに、ずっと戸惑っている。定まらぬ生身の交わりを母は幻想で生き延び、私は曖昧さを引き受けて期待することで生き延びようとしている。

・他人も、自分の人生も、決して思い通りにならない。そのことを受け入れるのにはとても時間がかかるし、受け入れがたいときもある。それでも生きていくために、ものの見方を歪めたり、誰かを悪者にしたりする必要があるのかもしれません。

自意識について

・辛くなると、仕事帰りに袋一杯の食べ物を買い込んでは、一人の部屋で夢中になって食べました。その間だけは嫌なことを忘れられるからです。ずっと、自分が嫌いだった。それがあんまり苦しくて、なんとか好きになろうと思ったのに。他人が称賛してくれる自分なら好きになれるかもしれないと思って人前に出る仕事に就いたのに。でも結局、他人にも自分にもますます嫌われただけだった。

・私は自分の向上心を憎んでいました。もっとわかりやすい成功をおさめなければ。もっと他人が羨む立場を手に入れなければ。もっともっととせき立てる声が止むことはありません。

・前線に立ちたいが、守られたい。有名になりたいが、恥はかきたくない。特別でありたいが、異端とは呼ばれたくない。人気者になりたいが、出たがりと呼ばれたくない。俗物だが、尊敬されたい。(中略)自分の意見があっても言うことは許されない。虚ろな形の中に何かがあるふりをしなくてはならない。努力しているのに評価されない。傷ついて悩んでいるのに、いい気なものだと言われる。

・私は12歳でそれまで見たことのない世界に出会って、中庸は自由であると知りました。恵まれていることに自覚的でいられる程度に不自由で、恵まれている人を呪わなくても済む程度に自由な立場でいることが、ものの見方を公平にすることに気が付いたのです。

・何が正解かを決めるのではなくて、自分に合ったやり方で生活できるのがいいという極当たり前のことを言うのが、どうしてこんなに難しいんだろう。あなたと違うやり方の人が認められることは、あなたが否定されることではないのに。