LIFE SHIFT

三十歳の原点~LIFE SHIFT~

社会人大学院生の日記。新たな働き方を模索中。

喪失感と向き合わないために、旅に出る

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先週から慌ただしく毎日を過ごしている。年度末は毎年のことだけど、今年は退職という大きな転機なので尚更だ。あえて意識的に、中欧旅行の計画まで詰め込んだ。今は日々こなさなければいけないことを淡々と消化して、疲れ切って眠りについている。送別会や、別れを惜しんで会いに来てくれる人や、それぞれの思いを込めた激励メールには、そのつど心を揺り動かされる。でも、それに浸っている余裕はない。考えすぎる暇がないのは良いことだ。

情けないけれど、特にここ数日、ちょっと気を許したら涙腺が緩むことが度々ある。自分が何者でもなくなる心許なさと真正面から向き合うのが怖い。だから、何も考えないように心を硬くしている。異動内示を見た同僚から連日届くメールも、送信者名だけ確認して、内容はほとんど読んでいない。他人の意見なんか気にしないと言いながら、さまざまな反応に胸がぎゅっと苦しくなる。そんなんじゃだめだと思いながらも、生来の性格はそう簡単に変わらないもの。

この喪失感と向き合わないために、私は旅に出る。退職したその足で、飛行機に乗る。完全なる現実逃避であり、自己防衛の旅でしかない。逃げたところでどうなるものでもないけれど、いま重要なのはタイミングだ。一番きつい時期に、痛みをごまかせればいい。旅行から戻ってきて、引越をして、新しい場所で新しい生活が始まった頃には、この痛みなんかカサブタになって、ウキウキと未来のことしか考えられなくなっているかもしれない。そうであってほしい。

そんな現実逃避の旅を、今回だけは正当化したい。

※冒頭画像:https://unsplash.com/photos/rf6ywHVkrlY

自分の送別会は苦痛だ

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職場で人事異動の内示が出て、いよいよ私の退職についても公然の事実となった。親しかった同僚からいくつか送別会のお誘いをいただいたけれど、所属する職場関係の(絶対に出席しなければならない)送別会以外は、お断りしてしまった。

お世話になった人に直接お礼を伝えたい気持ちはある。飲み会の場も好きだ。でも、自分の送別会は、どうにも耐えられそうにない。寂しいだけならまだいいのだけれど、耐えがたいのは、とうに乗り越えたはずの悩みに、自分が手放したものに、再び否応なく向き合わなければならないからだ。そのときの苦しみが色褪せることなく毎回よみがえってきて、胸をえぐられるような思いがする。新たな道に進もうとする自分を、過去の自分が後ろから引っ張っているような感じ。

お誘いを断るのは本当に子どもっぽいし、せっかく開いてくれるんだから可能な限り出席するのが社会人としての振る舞いだと分かっている。物事にはケジメというものがあって、辛い思いを引きずってでも一人一人にお別れを伝えて、はじめて次の道に進めるものなのかもしれない。それでも、できることなら最後までいつも通りの日常を過ごして、跡を濁さずひっそりと職場を出たいと思ってしまう。今はとにかく、残る送別会を指折り数えながら、じっと3月31日を待っている。

 

本場プラハでオペラ鑑賞したい。

前回に引き続き、中欧旅行の下調べ。やりたいことリストのうち、今日は「オペラ鑑賞」について。プラハでは計4泊の予定ですが、できれば毎日オペラかコンサートに行きたいと思っています。

プラハには有名な劇場がいくつもありますが、なかでもオペラ専門の劇場「プラハ国立歌劇場」は欠かせません。今回はこの劇場に行きます。

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オペラの予約

演目はこちらの日本語サイト(→プラハオペラチケット)で調べて、目当ての演目が決まったら、実際の予約はチェコのサイト(英語)で行いました(→bohemia ticket)。日本語のサイトは仲介手数料が入るためか、割高なので現地サイトで予約した方が安いです。

予約自体は簡単なのですが、困ったのは座席。下の画像のとおり、1階席のドレスシートや2階のバルコニー、ボックス席など多種多様です。

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行ったことのない劇場で、多種多様な座席の中からベストな場所を選ぶのは本当に難しい。舞台を正面にして、劇場全体が見渡せて、音楽の響きが良い席はどこか。高い席(といっても日本の半額以下)を選べば間違いなさそうですが、ドレスコードのことも考えると少し気がひけます。悩んだ結果、1階席の後方(画像では赤のシート)を選択してみました。当日、劇場の中をいろいろ探索することができたら、他の座席の状況なんかも見てきたいと思います。

オペラの服装

日本でオペラを見るときはそこまで服装に気を遣うことはないのですが、今回はじめて本場の劇場に行くのでドレスコードが気になります。予約サイトでプラハ国立歌劇場のページを観たら、次のようなメッセージが。

Dress code

Guests are encouraged to dress smartly. A jacket & tie is not strictly necessary, but we sould advise against wearing jeans and trainers.

http://www.bohemiaticket.cz/theatres/517-state-opera

さすがにジーンズで行くつもりはありませんが、そこまでカチカチにしていく必要もなさそう。とはいえ一応1階席なので、それなりに華やかに見えるようにしていきたいものです。荷物は今回もバックパック1つの予定なので、できるだけ嵩張らないものを。ということで、シフォン系のワンピースまたはセットアップのパンツスーツ、そしてクラッチバックとハイヒールという装いでチャレンジしてきます。

他の劇場にも足を運ぶ予定なので、その場の雰囲気や周りの服装など後日ご報告します。

その他コンサート

そのほか、フルオーケストラのコンサートについても、人気演目を1日分だけ事前予約しました。残り2日間は、現地に行ってから決めたいと思います。スメタナホールやドヴォルザークホールでのコンサートにも行きたいし、街なかでは「教会コンサート」という飛び込みOKの催しにも行ってみたい。音楽三昧、満喫してきます。

 

アウシュビッツ収容所に行きたい。

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4月の中欧諸国(チェコポーランド)への一人旅に向けて、いろいろ準備を始めています。今回の旅でやりたいことは色々あるけれど、絶対に外せないのは次の3つ。

アウシュビッツ収容所に行く。

プラハで毎晩、オペラ・コンサート三昧。

電車またはバス(飛行機以外)で国境を越える。

この中でとりわけアウシュビッツについては、小学生の時に読書感想文で『アンネの日記』を読んで以来、足掛け20年にわたる強い希望がありました。さらに先日見たNHKの番組で、再び行きたい熱がフツフツと高まってきた(→過去記事)。ということで、今日はアウシュビッツの下調べです。

アウシュビッツ収容所に行くぞ!事前準備

アウシュビッツ収容所では、4月から10月まで個人客の受け入れを制限(AM8時~10時、PM3時~5時のみ)していて、基本的にガイドツアーに申し込まないと入場できません。調べてみると、ガイドツアーの選択肢は3つありました。

アウシュビッツ博物館の窓口で、ガイドツアー(英語)を申し込む

現地に行ってから都合のいい時間のツアーを選べるので、事前の準備がなくてラクです。とはいえ日本語がないので、英語ツアーに参加するしかない。今回の中欧行きはアウシュビッツに行きたいがための計画でもあるので、せっかく行くからには、英語力の乏しさのせいで貴重な説明を聞き逃したくない!

ということで、いったん保留にして、それ以外の日本語ツアーを検索。

旅行会社が企画する現地ツアー(日本語)を予約する

自分で公共交通機関に乗って行かなくても、滞在ホテルや近くの駅までバスで送迎してくれるツアーがあります。ガイドはもちろん日本語で、アウシュビッツ以外の世界遺産ヴィエリチカ岩塩坑)にも連れて行ってくれます。至れり尽くせりですが、いかんせん料金が高い。1日ツアーで約28,000円なのですが、一人参加の場合にはこれが倍額近い52,000円になります。また、ガイドは日本語の堪能な現地ポーランド人が対応するらしいのですが、どうやら当たりはずれがあるようです。

アウシュビッツ博物館公式認定ガイドの中谷剛さんに、直接ガイドを依頼する

最後に最も有力な選択肢。博物館には日本人唯一の公式認定ガイドがいる、という話を聞いたことがありました。口コミなどを見ていても、おそらく日本語ツアーの中でもっとも質の高いガイドと思われました。この方にお願いするには、個人メールで直接連絡をとって日程調整しなければなりません。予約がとれたら、当日は指定された時間までに自分で博物館前まで行く必要があります。個人にガイドを依頼するなんて高そう…と思いましたが、ネットでは250ズオチ(約8,000円)をその日の参加人数で均等割するらしい。ポーランドは公共交通機関が安く、滞在予定のクラクフからアウシュビッツまで、バスなら往復1000円もかからずに行けます。先の5万円のツアーのことを考えたら、安すぎる。よし、これに決めた。

中谷さんにメールしてみた。

 早速、ネットで見つけたメールアドレスに突然メールしてみました。

中谷剛様

突然のメール失礼いたします。〇〇と申します。4月〇日~〇日のうち、いずれかの日程でアウシュビッツ収容所を見学したいと考えております。可能でしたら、現地ガイドをお願いしたいのですが、中谷様のご都合はいかがでしょうか。いきなりのお願いで恐縮ですが、ご検討いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

 すると、すぐさまお返事が。次のような趣旨のメールをいただきました。

・4月〇日〇時からご案内します。ご案内はアウシュヴィッツとビルケナウを合わせて3時間ほどです。

・入館案内料はお一人80ヅオチ、または20ユーロです。よろしければ、開始10分前までにアウシュヴィッツミュージアム入場棟前にお集まりください。

・こちらでなにか変更等が生じました場合にご迷惑をできるだけおかけしたくありませんので、緊急時連絡先をお持ちでしたらご教示ください。現地でなにかお困りのときはご遠慮なくお知らせください。

・尚、A4用紙の大きさ以上のリュック、カバン、袋などを持って入場できません。前もって荷物預かり所(入場棟の横にあります)へ置いてください(有料)。

クラクフアウシュヴィッツ間の交通情報を添付します。

このような依頼には慣れていらっしゃるのでしょう、スムーズにやりとりできました。他にも参加者がいるようで、料金は80ズオチ(約2500円)とのこと。安い!!さらに、現地までの交通情報(バスや電車での行き方)に関する資料も送ってくださいました。ということで、中谷さんに決定!よろしくお願いしますメールを送りました。

これから出発まで、こんな本で勉強します。

アウシュビッツ博物館案内

まずは、ガイド中谷さんの著書。とってもわかりやすく、それでいて内容の濃い1冊。

新訂増補版 アウシュヴィッツ博物館案内

アウシュビッツ収容所

これも有名な1冊。アウシュビッツ強制収容所長、ルドルフ・ヘスの手記。なぜこんな悲劇が起こったのか、考えるヒントになりそうです。

アウシュヴィッツ収容所 (講談社学術文庫)

ヒトラーに抗した女たち~その比類なき勇気と良心の記録~

この時代に生まれていたら、自分はどんな選択をし、どんな行動をとっただろうか。真っ向からナチスに抵抗した人たちのことが知りたくなってくる。

ヒトラーに抗した女たち―その比類なき勇気と良心の記録

ガイド予約が済んだら、5つの心得を読んで準備しよう

chai-chan.hatenablog.com

高校の臨時教員の登録リストにエントリーしてみた。

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4月から名実ともに無職になります。そこで、転居先の教育委員会のHPにアクセスして、臨時教員の登録システムにエントリーしてみました。

大学院のマスターのときに取得した、高校と中学の社会科系の教員免許。親が教員だったこともあって、ならなくてもいいから免許だけは取っておけと、昔から口酸っぱく言われ(義務付けられ)てきました。当時は公務員試験の勉強と同時進行だったので、ヒーヒー言いながら毎日深夜まで業務日誌をつけて授業の準備をして試験勉強して、と目まぐるしい日々でした。教育実習をやってみて、結果的に当時は教員を選ばなかったわけですが、それでもいつか教育に携わる日がくるという確信をずっと持ってきました。そして今、キャリアチェンジの岐路に立って、自分が選べる選択肢が増える有難みをしみじみ感じています。

4月からは、とにかく博士論文を進めることが第一優先だけれど、可能な範囲で少しずつ仕事したいと思っています。ポスドクの学生は、高校や大学で非常勤講師をしたり研究員のアルバイトをしながら、正規の採用を狙っている人が多くいます。私もそれに倣う形になるけれど、なにぶん縁もゆかりもない土地に行くので、そこでどんなことが起こるか予測もつかない。エントリーしたはいいけれど、地域や科目によっては空きがなくて、結局エントリーしっぱなしという話もよく聞きます。とりあえず今できることは、狙える募集枠にエントリーしながら、高校の指導要領にちょっと目を通しておくとか、大学で教えられる科目を一つずつ増やしていくとか、一本でも多く査読論文を増やすとか、そんなことを地道に積み重ねることぐらい。副業禁止の身分も年度末で終わるので、当面はフルタイムではなく非常勤の勤務形態で、興味を持ったことをいろいろやれると良いなぁ、などと夢見がちに考えている今日この頃です。

 

※冒頭画像:https://unsplash.com/photos/2YZygZWffjw

「営業」はお金儲けの手段ではなく、自分と社会をつなげる根源的なスキルである。

ちきりんさんと木下斉さんのスペシャルトーク生配信「人口減少社会における地方再生」、ものすごく濃密な時間でした。データ作業しながら聞こうと思ったのに、思いついたことをメモしながら聞いてたら、完全に作業そっちのけ。深夜にも関わらず最大で約1600人、エンディングでも700人近いリスナーがいましたが、もっと多くの人に聞いてもらいたい番組でした。特に公務員は全員聞いとくべきじゃないかと。いかにマーケット感覚と逆の発想で仕事してるか、今後「公」として何をすべきなのか、考えることがたくさんある。

いろいろと琴線に触れる内容がたくさんあって、一度には書ききれないのですが、改めて営業のスキル(マーケット感覚)の重要性を再認識しました。とりあえず備忘録的に2点ほどメモ。

若い人が最も身に着けるべきスキルは「営業(=マーケット感覚)」

恥ずかしながら、昔から「営業は自分にとって縁のないもの」と思い込んできました。営業とか商売にはあまり近づかないように距離をとってきた、と言う方が正しいかも。なぜだろう?と考えてみたら、その原因の一つとして父親に思いあたった。

父は大学卒業後、コンピュータ関係の企業に就職し、最初の社員研修でたまたまやった営業で、いきなり高額製品を売って社長表彰を受けてしまったらしい。そのために、もともとSEとして採用されたにもかかわらず「こいつは営業に向いている!」と期待され、営業職に異動。しかし、当の本人は営業が嫌で嫌でたまらず、その後の成績も芳しくない。仕事が辛すぎて耐えきれなくなった父は、入社数か月後に退職。その後は教員になって退職まで勤めあげました。

この頃を思い出して、父はよくこう言いました。「営業は辛くて辛くて生きている心地がしなかった。こんな辛いことを一生やるくらいなら、死んだほうがましだと思った。営業やめて教員になって、本当に良かった。これこそが俺の天職だ」と。

この体験談を数えきれないほど聞かされてきた私は、幼心に「営業というのは、向いている人はいいけど、そうでなければ辛くて生きる価値も感じられないような仕事。それに比べて、教育というのは人生を費やすに値する価値のある仕事。」と感じるようになった。そして、「お金儲けを目的にする営業や商売よりも、お金儲けを目的にしない仕事の方が高等じゃないか」というような、なにもかも履き違えた価値観を(言葉にはしないまでも)持つようになってしまった。

とはいえ、これは視野狭窄な小さいころの思考です。大学に進学してより広い社会を知る機会を持った私は、自分の体験を積み重ねて、自分なりの価値観を持たなければならなかったと思う。

にもかかわらず私は、自分で経験することをせず、自分の頭で考えることもせず、父の体験を鵜呑みにしたまま社会に出てしまった。就職先を考えるときも民間企業それ自体を排除し、「お金儲けを目的にしない」公務員を目指すようになった。我ながら愚かすぎて恥ずかしい。

仕事をするようになって、いろんな働き方を知って、ようやく営業がお金儲けの手段ではないと理解するようになりました。そして営業のスキルは、自分で商売する人や営業部門のサラリーマンだけのものではない。公務員でも教員でも研究者でも、人間が社会と関わって生きていく上で、何をするにも必要な能力であると今は実感しています。今日のトークライブを聞いて改めて、営業は自分の行動と社会をつなげる根源的なスキルであり、誰もが身に着けるべきものであるということを再認識しました。

事業を始める前に、営業を終わらせる

研究活動の関連で、いつか小さくていいから自分で事業を起こしてみたい、という思いがあります。誰かからお金をもらって仕事するんではなく、自分がやるべき!と思う仕事を、自分で創造し、自分でお金を工面して、リスクを負って取り組む、という経験をしてみたい。

新しい事業を始めるときは、まず初期投資のことを考えがちです。そんななか、木下氏の「事業を始める前に営業しろ」という言葉がとても響いた。投資する前に、営業を先に終わらせる。こんな商品があったら、こんなサービスがあったら、自分はこれぐらい払いますよ、という顧客を先に見つける。営業で得たニーズをもとに事業内容を組み立てて、ニーズに見合った規模で事業を展開するという発想。

木下さんいわく「売る人が決まっていないのに、顧客に最適な商品なんてわかるはずがない」し、「物がないと営業できないなんて、センスがなさすぎる」とのこと。商品ありき、サービスありきの発想から抜け出す必要があるということですね。とりわけ今後の人口減少社会では、大きく投資して後で回収するなんて無理ゲーなので、その意味でも費用をかけずに小さく始めて、ニーズに合わせて事業を展開していくやり方はメリットが大きいと感じました。いやー、目から鱗。

 

眠くなってきたので今日はこのへんで。このライブ企画、第2回・第3回と続いていってほしいものです。